AIによって判明した8つのグループ
私たち人類はアフリカで誕生した後に、地球上の様々な場所に移住し、その地域にあわせた遺伝的特質を獲得してきました。
そのため、ある人種に効果があった薬が別の人種では効果が薄い、ということが少なくない頻度で起こりました。
しかし近年になって、日本の中でも薬の効果が地域によって僅かに異なることがわかってきました。
これまでは、そのような些細な地域間の医療効果の差は、主に食文化をはじめとした文化的な要因のためとされてきました。
ですが今回、17万人にもおよぶ遺伝データを、AIによる機械学習を応用して調べた結果、同じ日本人の中にも8つの異なる亜集団が存在すると判明したのです。
またこれらの差を二次元の画像に落とし込んで可視化した結果、九州と北海道の一部、及び沖縄の方々の遺伝子が、特にユニークな遺伝子集団を築いていることが判明しました。
さらに遺伝的な差が身体においてどのように影響するかを測定した結果、遺伝的な地域差が平均身長の地域差とも一致することがわかりました。
地域の遺伝子の差は確かに僅かですが、それでも身長差のような明白な違いをもたらしていたのです。
このことから、疾患リスク及び薬の効き目の違いが必ずしも、文化的な影響に支配されているのではなく、地域ごとの遺伝的な差にも影響されていることが示唆されました。