「精莢(せいきょう)」は時限爆弾?
精莢は、イカの外套膜(頭部)を開いた内臓部分にあります。
精子が入っているカプセルのような器官で、これをオスが自分の腕を使ってメスに手渡します。一匹につき、だいたい100個ほどの精莢があるそうです。
精莢は多層構造になっていて、主に精子塊・粘着体・射出管(発射装置)に分かれています。
そして精莢が外部刺激を受けると、中の精子塊がミサイルのように射出されるのです。
精子塊には、先端に釣り針のような鋭い返しが付いており、これがメスの受精嚢に刺さって受精が行われます。
こちらは精莢が暴発する瞬間を捉えた映像です。
精莢は十分に加熱されれば機能しなくなるのですが、そうでない場合は口内でこのように暴発します。その結果、口内や舌先に精子が突き刺さってしまうのです。
また精莢は、映像のように1本ではなく束になって存在するので、口内には無数の精子が突き刺さることになります。
返しは頑丈なので簡単には抜けません。しかも、それ以外の本体部分は非常に柔らかいので、無理に手で抜こうとすると返しだけが残ってしまいます。