致死的な放射線に生き残る「謎の10%」は長年無視されてきた
放射線の存在が確認されて以降、膨大な数の動物たちが放射線実験の対象になってきました。
致死的な量の放射線を浴びた動物たちの「ほとんど」は数日から数か月かけて苦しみながら死んでいきます。
しかし中には、長期にわたって生き延びる幸運な個体もいました。
マウスを用いた放射線実験では、致死的な放射線を浴びても、約10%ほどの個体が600日以上の長期にわったって生存することが知られています。
600日という期間はマウスの寿命(4年前後)からみるとかなり長い期間と言えます。
ですが多くの研究者たちは、これら幸運な個体が現れるのは単に確率の問題であると考え、誰も原因を調べようとはしませんでした。
しかしノースカロライナ大学のハオグオ氏らは、問題は単なる確率ではないと考えていました。
生き残った個体には、何らかの特質が秘められていると考えたからです。
そこでハオグオ氏らは、マウスの腸内細菌に目をつけマウスの糞を分析しました。
すると、長期間生存したマウス(エリートサバイバー)の腸内細菌バランスが、通常のマウスと大きく内容が異なっていることに気付いたのです。
しかしこの時点では、生き残ったマウスの腸内細菌が、放射線で変異しただけの可能性もありました。