入手困難だったヒトや絶滅危惧種の卵子を人工的に生産可能になる
今回の研究により、幹細胞を変化させて作った疑似的な生殖細胞(PGCLCs)と卵巣を模倣する細胞(FOSLCs)を組み合わせることで、正常に機能する卵子を創出できることが示されました。
幹細胞だけを材料にして卵子と卵巣の両方を作り、繁殖可能な子マウスを誕生させたのは、今回の研究が世界ではじめてになります。
本研究の成果を絶滅危惧種に適応することで、希少な種の卵子を大量に生産して地球生命の多様性に貢献することが可能となるかもしれません。
また倫理的な問題を回避して卵子を生産できるために、実験材料としての卵子の手軽な取得手段となるだけでなく、ヒトの不妊治療にも活用可能だと考えられます。
一方で、幹細胞から人工的に作られた卵子で子どもを産めるという事実は、私たちの生命観や倫理観をおびやかすでしょう。賛否両論を呼び、新たな法整備の元となる研究かもしれません。