画像
Credit: canva
animals plants

史上初、重度の「脊柱変形」を患うジンベエザメを発見【画像あり】

2025.09.25 12:00:57 Thursday

ジンベエザメは世界最大の魚類でありながら、他のサメと違って、実に穏やかな海の巨人です。

そんな中、アメリカ海洋漁業局(NMFS)は、メキシコ湾北部の海域で、ジンベエザメとしては初となる「重度の脊柱変形」を患った個体を発見したと報告しました。

背骨が大きくS字状に曲がり、見た目にも明らかな異常を抱えながら、ジンベエザメは果たしてどのように生き抜いていたのでしょうか?

研究の詳細は2024年12月5日付で科学雑誌『Journal of Fish Biology』に掲載されています。

Scientists Spot The First-Ever Giant Whale Shark With Severe Spinal Deformation Off US Coast https://www.iflscience.com/scientists-spot-the-first-ever-giant-whale-shark-with-severe-spinal-deformation-off-us-coast-80867
Spinal deformity in a whale shark, Rhincodon typus (Smith 1828), encountered in the northern Gulf of Mexico, with notes on its movement patterns https://doi.org/10.1111/jfb.16012

背骨の曲がったジンベエザメを確認

調査チームは2010年と2013年に、メキシコ湾北部の「Ewing Bank」と呼ばれるエリアで、異様な姿のジンベエザメと遭遇しました。

その個体は体長6メートルほど。

通常なめらかな体形のはずが、背中から尾にかけて大きく“S字”に曲がり、横から見ると明らかに脊椎が変形しているのがわかります。

【実際の個体の画像がこちら

この変形は、専門的には「後側弯症」と呼ばれる、複数方向への異常な曲がり方でした。

研究チームはこの個体に衛星タグを装着し、98日間にわたりその動きや生態を追跡しました。

しかし驚くべきことに、重度の変形を抱えたこのジンベエザメは、普通の個体とほぼ変わらぬ生態を見せていました。

タグの記録によれば、約3カ月間で2000キロメートル以上もの長距離をメキシコ湾内で移動していたのです。

また、研究者たちはこの個体が他のジンベエザメと同じように、水面で魚の卵を摂食する様子も観察しました。

つまり、変形があってもジンベエザメ本来の「ろ過摂食者」としての暮らしをきちんと維持できていたといえます。

次ページなぜ背骨が曲がったのか? 巨体に与える影響と生存戦略

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

スマホ用品

動物のニュースanimals plants news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!