ワニの男性器は常に勃起状態だった!
オスのワニの生殖器は長い間、どのような仕組みをしているのか知られていませんでした。
それを確かめるため、マサチューセッツ大学の解剖学者であるダイアン・ケリー(Diane Kelly)氏は2013年に調査を行いました。
ケリー氏ら研究チームは、ルイジアナ州にあるロックフェラー野生生物保護区(Rockefeller Wildlife Refuge)から亡くなったばかりのアメリカアリゲーターのオス標本を数匹手に入れて、生殖器の解剖を実施。
そのうち、全長4メートル以上あるオスの生殖器を解剖したところ、長さ約7センチの真っ白い性器が発見されました。
ワニの性器はヒトと違って体外にはなく、「総排出腔」と呼ばれる器官の中にしまわれています。
総排出腔とは、両生類や爬虫類、鳥類、およびごく一部の哺乳類などに見られ、直腸・排尿口・生殖口のすべてを兼ね備えた器官です。
そのため、総排出腔を持つ生物はその同じ穴から尿やフンの排泄、卵や精子の放出を行います。
こちらがワニの総排出腔から性器が飛び出す瞬間を捉えた映像です(※ 音声はありません)。
ケリー氏らが驚いたのは、ワニの性器が常に勃起した状態にあることでした。
「これは本当に奇妙で興味深く、私たちがこれまで目にしてきた脊椎動物の常識とは非常に異なっている」とケリー氏は話します。
勃起の科学的な仕組み
勃起をする生物の性器は通常、「海綿体」と呼ばれる組織によって成り立ちます。
海綿体は筋肉とは異なる組織であり、血液を貯留させることのできる多孔質の組織です。
性的興奮をトリガーにして血流が性器に送り込まれると、海綿体に見られる無数の小さな空洞が血液で満たされ、膨張します。
そして性的興奮が収まると血流が戻って、性器が通常時の状態にまで収縮します。
これが勃起の科学的な仕組みですが、ではオスワニの性器はどのような組織でできていたのでしょうか?