高い社会的地位と「感情を読み取る力」の意外な関係
アメリカの研究チームが行った最新の心理学調査によると、「自分の社会的地位が高い」と思っている人ほど、他者の感情を読み取る能力が低くなっていたことが明らかになりました。
研究を行ったのは、ヴィクトリア・K・リー氏らのチームです。
彼らは1197人のアメリカ在住の成人(参加者の平均年齢は38歳、男女比は半々)を対象に、オンラインでさまざまな心理テストを実施しました。
参加者はまず、写真に映る人物の表情から「今どんな感情を抱いているか」を推測するテストを受けました。
これは相手の喜怒哀楽を“表情から見抜く”力を測定するものです。
次に、参加者自身の社会的地位について、「自分はどれくらい社会で成功しているか」「人生で地位が上がったと感じるか」といった主観的な評価も行いました。
その結果、「自分の社会的地位が高い」と感じている人ほど、他者の感情を正確に読み取る力が低い傾向が見られたのです。
この傾向は「グループ全体の感情」や「物の特徴を見抜く力」にはあてはまりませんでした。
あくまで“個人の気持ちを読み取る能力”だけが、主観的な社会的地位と反比例していたのです。