読書は動画の視聴より認知能力の向上に役立つ?
昨今はYouTubeやサブスクリプションを中心とする映像媒体の人気が高まるのに反し、人々の「活字離れ」が進んでいるといわれています。
「最近は動画ばかり見ていて、ほとんど読書をしなくなった」という方も少なくないでしょう。
その一方で、本を読むこと、特に小説のようなフィクション作品を読むことが認知機能の向上につながることを示唆する研究がいくつも報告されています。
そこで研究チームは、これまでの先行研究を体系的にレビューすることで、フィクション作品を読むことの認知的な利益を明らかにしようと考えました。
今回の研究では、2つのメタ分析(複数の研究結果を統合して分析すること)を実施しています。
まず1つ目は、実験を通じてフィクション作品を読むことの認知効果を調べた研究を集めて体系的に分析するものです。
これらの実験で、被験者は「フィクション作品(短編小説)を読むグループ」「ノンフィクションを読むグループ」「フィクション映像を見るグループ」「何もしないグループ」にランダムに割り当てられた上で、その認知効果が調べられていました。
これには70件の先行研究のデータが含まれており、被験者は合計で1万1172人が対象となっています。
メタ分析の2つ目は、日常的な小説の読書習慣と認知能力の関係性を調べるものです。
これには114件の先行研究が含まれ、被験者の数は合計3万503人に上り、それぞれの読書習慣(どんな種類の本をどれくらいの頻度で読むのか)を調べて、さまざまな認知機能のスコアと照らし合わせました。
小説を読むことにはどれほどの効果があったのでしょうか?