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子供の頃に歯ブラシをサボると、大人になって虚血性脳卒中のリスクが高まる

2026.03.07 12:00:44 Saturday

子どもの歯はやがて大人の歯に生え変わる、という事実を知って「どうせ生え変わるなら、乳歯のうちはそんなに神経質に歯ブラシしなくてもいいんじゃない?」と考える人は多いかも知れません。

確かに生え変わるなら、子どもの頃の歯の健康は大人になった後の健康とは無関係のような印象を受けます。

しかし、北欧デンマークのコペンハーゲン大学(University of Copenhagen)のニコリン・ニガード(Nikoline Nygaard)氏ら研究チームによると、約57万人という非常に大規模なデータを用い、子どもの頃の歯科記録と成人後の発症記録を長期にわたって照合した結果、子どもの頃に重度の虫歯や歯ぐきの炎症(歯肉炎)を経験した人は、大人になってから心筋梗塞や虚血性脳卒中などの動脈硬化性心血管疾患を発症する可能性が高くなることを発見したという。

私たちの口の中で起きているトラブルは、単に歯だけの問題にとどまらず、将来の全身の血管を守るための重要な要因となる可能性があるようです。

子ども時代に歯ブラシをサボると何が起きるのか、その怖い影響を見ていきましょう。

この研究の詳細は、2026年1月付けで科学雑誌『International Journal of Cardiology』に掲載されています。

Childhood oral health is associated with the incidence of atherosclerotic cardiovascular disease in adulthood https://doi.org/10.1016/j.ijcard.2025.134151

57万人の記録が語る、子どもの歯と大人の血管の意外な関係

大人の歯周病(Periodontal disease)が心臓病のリスクを高めることは、これまで多くの研究で指摘されてきました。

しかし、乳歯から永久歯へと生え変わる時期、つまり子どもの頃の口内環境が、数十年後の健康にどう影響するかについては、まだ詳しく分かっていないことが多くありました。

米国疾病対策センター(CDC)のデータでは、6〜9歳の子どもの4割から6割が虫歯を経験しているとされ、この問題は非常に多くの人にとって身近なものです。

これまでの研究では、参加人数が少なかったり、アンケート調査に頼っていたりといった課題があり、子どもの頃の状態が一生の健康にどう関わるのかを正確に把握することは困難でした。

そこでデンマークの研究チームは、国が管理する膨大なデータベースを活用し、この「空白の期間」を埋める大規模な調査を実施しました。

対象となったのは、1963年から1972年の間に生まれたデンマーク人、約57万人です。

研究チームは、1972年から1987年にかけて記録された「全国児童歯科登録(SCOR)」から、彼らの子どもの頃の虫歯の数や歯ぐきの腫れのデータを収集しました。

そして、それから約30年後の1995年から2018年にかけて、彼らが心臓や脳の病気で入院したかどうかを「全国患者登録(LPR)」で照らし合わせたのです。

この調査の結果、子どもの頃に重度の虫歯や歯肉炎(Gingivitis)があった人は、そうでない人に比べて、大人になってから動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)を発症する割合が高いことが示されました。

具体的には、虫歯のスコアが最も高いグループでは、将来の心血管疾患のリスクが男性で32%、女性で45%上昇するという関連が見られました。

また、一度きりの検査結果だけでなく、子ども時代を通じて中等度から重度の口内トラブルが見られた群では、その推移パターン自体も将来のリスクと関連していることが分かりました。

これは、子どもの頃の口の健康が、単なる一時的なトラブルではなく、将来の重大な病気の要因となっている可能性を示唆しています。

次ページなぜ子どもの頃の口内状態が、数十年後の心臓や脳にまで影響を及ぼすのか?

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