そもそも、なぜ今の米は一年で終わるのか?

米の祖先にあたる野生イネの仲間には、何年も生き続けるものがあります。
ところが、人間が長い時間をかけて栽培化を進める中で、今の米は「一年でしっかり実る」性質を強くしてきました。
その結果、たくさん収穫できるかわりに、長く生きる力は後ろへ下がっていったと考えられます。
たとえるなら、長く走れる選手を、何代にもわたって短距離向きに育て続けたようなものです。
研究者たちが注目したのは、収穫のあとに驚くほど元気に枝を伸ばす特別な株でした。
普通の栽培イネでも、収穫後に脇から小さな枝が出ることはあります。
ですが、通常は少し伸びるだけで、そのまま終わります。
ところが注目された株では、収穫後に次々と新しい枝が出て、その数はふつうの栽培イネの十本前後を大きく超え、主に実らないものの七十本以上の二次分げつになりました。
まるで収穫後に「第二の人生」が始まったような伸び方です。
しかもこの株では、一度は花をつける方向に進んだ芽が、再び葉や枝を伸ばす方向へ戻っていました。
これは、卒業式を終えたあとに、なぜかまた新学期が始まるようなものです。
研究者たちは、この「成花逆転」と呼ばれる現象が、野生イネの長生きの重要な鍵だと考えました。
つまり、米を長生きさせるには、ただ長く保つだけでなく、収穫後にもう一度「育つモード」へ戻せるかが大事だったのです。































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