深海底に広がっていた「クジラの死者の都市」
クジラが死ぬと、その巨大な体は海に沈み、やがて海底に到達することがあります。
これは「ホエールフォール」と呼ばれます。
太陽光の届かない深海では食べ物が乏しいため、クジラの死骸は多くの生物にとって、突然現れた巨大なごちそうになります。
肉を食べる生物が集まり、骨の中の脂質を利用する細菌が増え、さらにその化学エネルギーを利用する生物たちが集まります。
つまり、クジラの死骸は、暗く冷たい海底に一時的な「生命のオアシス」を作るのです。
今回、研究チームが調査したのは、オーストラリアと南極大陸の間に位置するインド洋南東部のディアマンティナ断裂帯です。
ここは海底に深い断裂や谷が走る場所で、水深は4616〜7001mに達します。
研究チームは有人潜水艇を使い、海底を直接観察。
すると、約1200kmにわたる範囲で、クジラの死骸や化石が次々と見つかったのです。
【実際に見つかったクジラの墓場の一部がこちら】
確認されたのは、比較的新しい5つのホエールフォール群集と、476個体分の化石化した鯨類遺骸でした。
これは、これまでに知られていたクジラ遺骸の集積地としては、最大級であり、最深であり、最古級のものです。
ただし、ここで注意したいのは、「約500頭のクジラが一度に死んだ」という意味ではない点です。
むしろ、この場所では長い時間をかけて、クジラの死骸が少しずつ海底にたまり続けたと考えられます。
いわば、数百万年かけて形成されてきた、深海の巨大な墓地なのです。






























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