「自信過剰な子どもほど学習に有利」という説を再検証
幼い子どもは、自分の能力を実際より高く見積もる傾向があります。
たとえば、実際には数個しか覚えられなくても、「もっとたくさん覚えられる」と予想することがあります。
ここでいう自信過剰とは、性格として自信が強いことではなく、「覚えられると予想した数」が実際の記憶成績を上回ることです。
こうした自信過剰は、自分の能力を正確に把握できていない状態ともいえます。
しかし一方では、「自分ならできる」と思えるからこそ、失敗を恐れず課題に挑み、粘り強く続けられる可能性もあります。
この考えを後押ししたのが、2007年に発表された子どもの記憶学習に関する研究でした。
その研究では、過信の程度が高い子どもほど、記憶課題を繰り返した際の成績変化が良好に見えました。
そこで、実力以上の自信が課題への積極性を高め、学習に役立つのではないかと考えられたのです。
しかし、この結果は広く引用されてきた一方で、再現研究は報告されていませんでした。
そこで北京師範大学の研究チームは2007年の研究を再現し、追試、コンピューターシミュレーション、実験的な介入という3段階で、自信過剰に本当の学習効果があるのかを検証しました。
研究1では、6~8歳の子ども30人が、絵と名前が書かれたカードを覚える課題に取り組みました。
カードは18枚ずつ5つのリストに分けられ、子どもたちは各リストを覚える前に「何個思い出せると思うか」を予想しました。
研究者らは、最初の予想から実際に思い出せた数を引いて過信の程度を求め、子どもたちを高過信群と低過信群に分けています。
研究2では、異なる条件を設定した4種類のモデルを使い、それぞれ1000人分の仮想データを作成しました。
そして、自信過剰に学習効果がない場合でも、従来と同じ分析によって群の差が現れるかを調べました。
研究3では、6~8歳の子ども64人を無作為に2群へ分けています。
子どもたちは、「記憶力を判定する装置」だと説明された機器を装着し、一方は「記憶力が優れている」、もう一方は「記憶力が低い」という偽の評価を受けました。
その結果、研究1では従来の結果が表面的に再現されたものの、研究3で子どもの自信を実験的に変化させても、2群の記憶成績の変化に差はありませんでした。
ではなぜ、このような結果になったのでしょうか。
その仕組みを次項で詳しく見ていきます。































