吸うときと吐くときで人間の反応速度は変るのか?

信号が青に変わってからアクセルを踏むまでにも、ゲームで敵が飛び出してからボタンを押すまでにも、わずかな時間がかかります。
体調も練習量も変わっていないのに、反応の速さには波があります。
定番の説明は「集中力」です。
集中していれば速く、気が散っていれば遅れやすい、というわけです。
けれども反応の速さは、数十分や数時間だけでなく、数秒ほどの短い間にも変わります。
そんな短い周期で繰り返す体の働きとして、研究者が注目してきたのが呼吸です。
呼吸は、脳に酸素を届けるために欠かせません。
ただ、酸素が十分に届いているなら、吸っているか吐いているかまでは、頭の働きに関係なさそうに思えます。
しかしこの10年ほどで、その見方に合わない証拠が積み上がってきました。
実際、覚えたことを思い出す正確さや、顔に表れた感情を見分ける速さは、息を吸っているときのほうが良いと報告されてきました。
ところが、合図が来たら素早く反応するだけの単純な課題では、研究によって結果が食い違っていました。
1965年の報告では、音の合図に対する反応は、吐くときや、呼吸の合間の休止中のほうが速いとされました。
1974年の報告では逆に、その2つの段階では反応が遅いとされています。
1991年の報告では、自然に呼吸している場合、呼吸の段階による差はないという結果でした。
この問いは1928年にはもう論文になっていましたが、100年近くたっても答えはそろっていなかったのです。
特に画面の色が変わるような、目で捉える合図についても、呼吸のどの段階で速く反応できるかは、はっきりしていませんでした。
そこで研究チームは、吸う・吐く・その合間の休止という呼吸の段階ごとに、反応の速さを測ることにしました。





















