超高感度な重力計の限界
地下構造を把握することは、建設、自然災害の予測、天然資源の発見など、さまざまな分野に役立ちます。
では、どのように地下の構造を調査するのでしょうか?
シンプルな方法は「地下を掘って直接確認する」ことかもしれませんが、これには膨大な労力と時間が必要となります。
そもそも地球を穴だらけにするわけにはいきませんよね。
そこで専門家たちは、「地表の重力の違い」に目を付けました。
なぜなら地表の重力の値は、その地下の構造(岩石や岩盤の密度・形状など)によっていくらか異なるからです。
実際、地下に鉱床のような密度の高い物体があると、その物体の引力の影響で、地上の重力値は大きくなります。
逆に地下空洞があると地上の重力値は小さく測定されるのです。
そして現在、重力から地下構造を把握できる「重力計」はさまざまな分野で利用されています。
重力計の精度を高めることができるなら、地球だけでなく火星などの内部を調査するのに役立つかもしれません。
ところが、現在の超高感度な重力計には限界があります。
さまざまな環境要因(特に振動)の影響を受けてしまい、正確な調査を行おうとすると、どうしても時間がかかってしまうのです。
そこで研究チームは、従来の重力計の欠点を克服した、新しい「量子重力センサー」を開発しました。