生きた皮膚をまとったロボット指
生きた皮膚をまとったロボット指 / Credit:竹内昌治(東京大学)ら, Matter(2022)
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ロボットに傷も修復可能な「生きた皮膚」を定着させる事に成功! 

2022.06.10 Friday

ロボットが人間に近づくための新たな一歩が踏み出されました。

東京大学大学院情報理工学系研究科に所属する竹内 昌治(たけうち しょうじ)氏ら研究チームが、世界で初めて、生きた皮膚で覆われたロボット指を開発したのです。

人間の細胞を培養してつくられ皮膚は、コラーゲンシートを貼ることで傷を修復することも可能なのだとか。

研究の詳細は、2022年6月9日付けの科学誌『Matter』に掲載されました。

世界初!生きた皮膚で覆われたロボット ~修復能をもつ培養皮膚付きロボットの開発に成功~ https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/press/z0114_00019.html Scientists Have Developed ‘Living’ Skin For Robots, And It’s Quite Something https://www.sciencealert.com/scientists-have-made-this-creepy-as-heck-living-skin-for-robots
Living skin on a robot https://www.cell.com/matter/fulltext/S2590-2385(22)00239-9

人間のような皮膚をロボットに与えるには?

AI技術の発展により、ロボットと人間が協働する社会の実現も近づいているように感じられます。

そうなると求められるのが、より人間らしさを持ったロボットでしょう。

ロボットが人間らしらを得るためには、皮膚の存在は欠かすことができません。

また柔らかい皮膚は、ロボット同士や人間との接触において、互いを守るためにも役立ちます。

人間のように柔らかく修復しやすい皮膚が必要
人間のように柔らかく修復しやすい皮膚が必要 / Credit:Depositphotos

従来のロボット皮膚にはシリコンゴムなどが採用されてきました。

しかし柔らかい皮膚は細かな裂傷を負いやすいため、作り物だとメンテナンスに大きなコストがかかります。

いちいち皮膚を回収して貼り直すとなると、かなり面倒なのは想像がつくでしょう。

そこで研究チームは、実際に「生きた皮膚」でロボットを覆うことにしたのです。

ここでまず問題となるのは、どうやって柔らかな皮膚を、ロボットのフレームに定着させるのかということです。

通常の皮膚移植では、皮膚のシートを上から貼り付けていくという方法を取りますが、凹凸の激しいロボットの表面に同じ方法で皮膚を貼り付けていくことは困難です。

攻殻機動隊のようなSFアニメを見ると、何か液体のようなものに機械の体を漬けてロボットの体に皮膚を定着させる描写がありますが、あのような方法は実際に可能なのでしょうか?

次ページ培養液に浸してロボット指に人間の皮膚をまとわせる

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