飼育に危険が伴うサーバルは「準間接飼育」
猛獣などに対し直接動物と同じ空間に入らない飼育を行うのが間接飼育ですが、私が取材に伺った神戸どうぶつ王国では、サーバルに対し準間接飼育が行われています。
具体的には、普段の飼育は間接飼育を行い、トレーニングなどのときのみ動物と同じ空間に入ることができるといった形です。
ただし、サーバルと同じ空間に入る際には、必ず飼育員2人体制をとり、1人は入口で待機して万が一の事故に対処できるようにしています。
また、神戸どうぶつ王国では、食事やトレーニング、展示場や獣舎の作りなど至るところでサーバルがのびのび暮らせる工夫が凝らされています。
鶏頭が大好き!サーバルの食事
前述の通り、普段は間接飼育を行っているサーバル。
展示場で食事を与える際はサーバルを獣舎に入れた状態で展示場に飼育員が入り、エサを配置していきます。
エサが高い位置の渡り木も含めて色んな場所にばらばらに配置されており、展示場に入ってきたサーバルは狩りをするようにエサをめがけて上に下にと飛び回ります。
エサは鶏肉と馬肉で、量は大人のメスで360gほど。鶏肉は肉だけでなく、栄養価の高い鶏頭も含むのだそうです。
「鶏頭は普通の鶏肉・馬肉より好んで食べます。骨ごとばりばりいっちゃいますね。」
野生下では鳥を好んで食べるサーバル、普通の切ったお肉では味わえない鶏頭ならではの味わいは本能的にたまらないのかもしれませんね。
飼育ストレスを減らすトレーニングも
神戸どうぶつ王国ではサーバルに対してトレーニングが行われています。
これは前述した通り飼育員が同じ空間に入って行うこともありますし、獣舎内で網越しに行うこともあるそうです。
飼育員がステッキを持ってサーバルの動きをコントロールするトレーニングはハズバンダリートレーニング(※)の一貫で、少しずつ進めていくことで健康管理の際のストレスを減らす効果が期待されます。
現在は展示場のリニューアルによってサーバルの動きの幅が増えたため、トレーニングは一時休止中とのことですが、こういった飼育動物の幸せを考えたトレーニングは動物と人間お互いにWINWINで素敵だなと感じました。
※ハズバンダリートレーニング
エサなどのご褒美をあげることで動物が自主的に移動する、採血のために手足を出す、口を開けるなど、動物が健康管理に必要な行動をとれるようにするための訓練のこと。
このような健康管理は従来麻酔を用いて行うことが多く、動物への負担が大きかった。
のびのびジャンプできる展示場
神戸どうぶつ王国では2022年6月24日(金)からサーバルの展示場がリニューアルされました。
上部を約1.5倍拡張することでサーバルの跳躍もよりダイナミックになり、のびのびと動き回れるようになったそうです。
飼育のストレスを出来る限り減らし、広い展示場となったことで思いっきりジャンプをできるようになったサーバルたちはとてものびのびして見えます。
「展示場が広くなったことで、大きなジャンプなどより野生に近い動きを見ることができるようになりました。お客様にはそんなサーバルたちを見て、野生の姿を感じていただきたいです」
新しい展示場では、天井からお肉を吊るして、サーバルがジャンプして食べるような展示も行えるのだとか。
大きなジャンプでお肉に食いつくサーバルを見れば、サーバルの美しい野生の姿を感じられること間違いなしです。
動物園ではのびのびと過ごして見えるサーバルですが、自然界で暮らす野生のサーバルたちは現在過酷な環境に曝されているようです。