古い日記でAIチャットボットを訓練する

AI技術の向上により、AIとチャットできる「対話型AI」が多く登場しています。
特定の情報を学習させることで、その分野においてAIとの自然な会話が可能になるのです。
現在では、コールセンターの「問い合わせ業務の一部自動化」などによく利用されています。
またAIに有名人などの情報を学習させることで、いかにもその人っぽい受け答えができるAIチャットボットなどを作成することも可能です。
高性能なAIと大量の資料があれば、よりその人物に近づけられます。
今回、アーティストのファン氏はこうしたAI技術を使って面白い試みを思いつきました。
人工知能の研究団体「OpenAI」の高性能な言語モデル「GPT-3」に彼女が子供時代から書いた10年分の日記を学習させ、対話できる「過去の自分」を作り出したのです。
彼女の古い日記には、夢や恐れ、秘密、宿題の愚痴、恋人との会話で感じた気持ちから、時には驚くような洞察など様々な内容が綴られていました。
i kept diaries for about 10+ years of my life, writing almost everyday — about my dreams, fears, secrets
the content ranged from complaining about homework, to giddiness i felt from talking to my crush
some days were very mundane, some rather insightful pic.twitter.com/CzA1C20U4a
— michelle huang (@michellehuang42) November 27, 2022
こうして日記を学習したAIは、子供時代のファン氏に極めて似た考え方や話し方ができるようになったのです。
ファン氏は、このAIチャットボットを作成した理由を「自分の中にある子供の部分とリアルタイムで対話するため」だと述べています。
では、疑似的な「子供時代の自分との対話」はどのような結果をもたらしたのでしょうか?
「過去の自分」との対話が現在の自分に癒しをもたらす
ファン氏は、チャットボットとなった「過去の自分」について、当時の自分に不気味なほど似ていると感じたそうです。
まるで通常のチャットを装ったタイムマシンのようだったといいます。
またこのチャットボットは、10年前の日記から現在のファン氏の関心事を正確に予想できたようです。
but a couple interactions really stood out to me
1) when i told her that she was loved, cared for, and safe: the words that my past self always wanted to hear
it felt like i was reaching into the past and giving her a giant hug, and i felt it ripple back into the present pic.twitter.com/D3BJ0EbObn
— michelle huang (@michellehuang42) November 27, 2022
そしてファン氏は、このチャットボットとの対話で「癒しが得られた」と述べています。
例えば彼女は、過去の自分がいつも聞きたがっていた「あなたは愛されている」「大切にされている」「安全だよ」などのメッセージを伝えました。
これにより彼女は、「過去に手を伸ばして、過去の自分を抱きしめているようだった。それが現在の自分にもフィードバックされた」と感じたようです。
さらにファン氏は、過去の自分(AIチャットボット)に、現代に向けた手紙を書くよう促しました。
そしてその手紙を読んでいくうちに、「恥や失望を感じた時に陥る反芻思考(ネガティブなことを繰り返し考えてしまうこと)が少し溶けていくのを感じた」ようです。

この興味深い体験の後、ファン氏は次のように結論づけました。
「このメディアには癒しの可能性があると分かりました。
過去に愛を送るだけでなく、若い自分から愛を受け取ったりできるのです。
過去の罪悪感や自分自身について抱えていた物語に終止符を打つことで、行き詰まりが解消されるでしょう」
自分を一番理解してくれるのは自分自身ということなのかもしれませんね。
日記をマメに書いていた人でなければ使えない技術ですが、AIチャットボットは「自分と向き合うツール」として、新たな可能性を秘めているようです。
現在ファン氏はTwitter上で、GPT-3を使用した「過去の自分」を作成するためのチュートリアルを共有しています。




















