インディ・ジョーンズのような旅の途中で…
研究チームはこれまで、ニューギニア島の驚異的な生物多様性を誇るジャングルの中で、命を危険にさらしながらフィールドワークを続けてきました。
生態調査の他には、たびたび争いの勃発する部族間や、かつてカニバル(人喰い)習慣のあった部族に聞き込みを行うなど、”インディ・ジョーンズさながらの旅(Indiana Jones-like research trip)”をしてきたそうです。
毒鳥はその調査の最中に発見されました。
今回、毒を持つ鳥として新たに特定されたのは、インド太平洋地域に広く分布する「リージェント・ホイッスラー(Pachycephala schlegelii)」と「アカエリモズヒタキ(Aleadryas rufinucha)」の2種です。
種の存在自体は以前から知られていましたが、毒を持つことは明らかになっていませんでした。
研究主任の一人で、デンマーク自然史博物館(NHM)のクヌード・ヨンソン(Knud Jønsson)氏は「過去20年以上、新種の毒鳥は発見されていなかったので、この地域でよく見られる2種の鳥に毒が見つかったのは驚きでした」と話します。
どんな毒を持っていた?
分析の結果、2種の毒鳥の皮膚や羽毛に「バトラコトキシン(Batrachotoxin)」という神経毒があることが判明しました。
これは中南米の熱帯雨林に生息するヤドクガエルと同じタイプの毒です。
同チームのカスン・ボダワッタ(Kasun Bodawatta)氏は「バトラコトキシンは骨格筋組織のナトリウムチャネルを強制的に開いたままにすることで激しい痙攣を起こし、最終的には触れた者を死に至らしめる」と説明します。
ヤドクガエルの場合は、皮膚に高濃度のバトラコトキシンを有しているため、少し触れるだけで筋肉の痙攣や心停止を起こしかねません。
わずか20マイクログラムで人間の大人を死に至らしめるほど強力です。
ボダワッタ氏は、今回の発見を受けて「ヤドクガエルと同じ神経毒が、かつて考えられていたよりも広く生物間に浸透している可能性がある」と指摘しました。
では、2種の毒鳥のバトラコトキシンはどれくらい危険なのでしょう?
またどうやって毒を獲得し、なぜ体内に持っていても平気なのでしょうか。