音声アシスタントが自分に似た声だと信頼できる?
声が変わればVAへの信用が変化するか調べるために、ユニークな実験手法がとられました。
実験が行われていた当時誰もが話題にしていた「新型コロナウイルス」に関してVAと話した音声を流し、被験者がその話をどのように受け止めたか調査したのです。
この実験からは「利用者が好むVAの声質」について興味深い結果が得られました。
実験前、被験者のうち27%がコロナワクチンを打っていませんでしたが、自分に似た性質の声を使ったVAによる会話によって、そのうちの38%がワクチンに対する考えを変えたのです。
研究グループはこの結果に対し「自分と似た性質の声だとVAの話をより注意深く聞くようになる」可能性を示唆しています。
例えば、人は自分に似た性質を持つ友人やインフルエンサーなどを信頼し、その人の話は注意深く聞く傾向にあります。
このような現象がVAの音声に対しても起こっているのではないかと考えたのです。
まだこれは小規模な研究結果に過ぎませんが、VAの音声への評価が人によって異なり、話す内容の信頼性にも影響するという今回の結果は、多くのVAの音声が1つという現状を変えるきっかけになるかもしれません。
自分の声ではなく「自分と似たタイプの声」のVA
ここまで紹介した研究では「自分と似たタイプの声」だと評価が高くなりましたが、概ね人は録音された自分の声を気持ち悪いと思う傾向にあります。
つまり「自分と似たタイプの声」と「自分の声」は異なるということでしょう。
普段聞いてる「自分の声」は頭蓋骨などに響く骨伝導なども含まれたものですが、録音音声など客観的な声は音のみであるため、主観的な「自分の声」と異なるのだそうです。
この乖離が違和感につながり、苦手に感じる人が多いと言われています。
今回実験で得られた「自分に似たタイプの声」は、自分の性格とVAの声を別々に評価し、VAに対する印象と、事前申告した自分の性格との一致度が高いものを示します。
そのように考えると、この「自分に似たタイプの声」は主観の自分の声に近い声なのではないでしょうか。
もし持ち主の声から逆算して主観の声が割り出すことができたら、それぞれの使用者にマッチングした評価の高いVAが生まれるかもしれませんね。