「鳥たちの夢を解き明かす」取り組み
鳥たちが「夢を見ているかもしれない」ことは、研究者たちの間で以前から知られていました。
例えば20年以上も前から研究者たちは、睡眠中の鳥の脳が「歌っている」証拠をつかんでいました。
彼らは、鳥が眠っている間でも「歌うことに特化した脳領域」の活動が続いており、昼間に起きて歌っている時に示す神経パターンに似た傾向を示すことを知っていたのです。
しかしこれまで、その神経活動のパターンを解析することはできておらず、鳥たちが実際にどんな夢を見ているのか分かっていませんでした。
今回、マインドリン氏ら研究チームは、鳥たちの夢を解析するために、鳥類の発声器管である「鳴管(めいかん)」に着目しました。
人間は歌ったり話したりするために、喉の「声帯」を用います。
一方で、鳥類は、胸のあたり(気管が肺に分岐する場所)に「鳴管」を持っており、これを用いて、さえずりや地鳴き(さえずり以外の鳴き声)を行うのです。
呼気で鳴管にある振動膜が振動することで様々な発声が行われますが、この振動膜は鳴管の周囲の筋肉によって調整されています。
そして、マインドリン氏ら研究チームは、睡眠中の鳥の脳から発せられる指令が、鳴管の筋肉にまで及んでいることを発見しました。
睡眠中の鳥の脳活動から直接、夢の内容を解き明かすことは難しくても、鳴管の筋肉がどのように動いているか、それによってどんな鳴声が出るか分かるなら、鳥たちの夢を垣間見ることができるはずです。
人間でも、脳活動だけでどんな夢を見ているか解き明かすのは難しいですが、「寝言」や「体の動き」からいくらか推察できるのと同じですね。
そのためマインドリン氏は、「私は鳥の鳴声の物理学と、筋肉の情報を歌声に変換する方法について研究してきました」と述べています。