睡眠中の鳥の鳴管の信号から合成歌を生成!「縄張り争い」の鳴声に近いと判明
睡眠中の鳥がどんな鳴き声で歌っているか再現するため、マインドリン氏ら研究チームは、以前の研究で使用され、よく理解している種「キバラオオタイランチョウ(学名:Pitangus sulphuratus)」を研究対象として選びました。
キバラオオタイランチョウは、スズメ目タイランチョウ科に分類される鳥類であり、中南米全域に広く生息します。
鳴声が極めて特徴的であり、カリブ海では、「kis-ka-dee」という3つの音に聞こえることから、そのまま「kiskadee」と名付けられています。
そして今回研究チームは、睡眠中のキバラオオタイランチョウの「鳴管の筋肉活動」を、筋電図(筋肉や神経の伝わり方を記録する検査)を用いて記録し、そのデータを用いて合成歌を生成することに成功しました。
鳴管は複雑な筋肉組織を持っているため、その活動を鳴声に翻訳するのは簡単ではなかったようですが、キバラオオタイランチョウにおいては、最近ようやく、鳴声の「物理的な仕組み」を発見できたようです。
これにより合成された歌は次の動画で示されています。
キバラオオタイランチョウが睡眠中に発している鳴声は、よく知られている「いつもの鳴声」ではなく、短い音節で構成される鳴声でした。
これは、キバラオオタイランチョウが、日中に縄張り争いをする際に発する鳴声です。
彼らは頭の羽毛を逆立てながら、この音を出して相手を威嚇するのです。
このことは、キバラオオタイランチョウが縄張り争いの夢を見ている可能性を示唆しています。
この結果を受けて、マインドリン氏は、「孤独な鳥が夢の中で縄張り争いをしているのを想像して、すごく共感しました」と述べています。
また、「私たちは、普段認識している以上に、他の種との共通点が多いのです」と続けました。
私たち人間も、誰かと口論したり喧嘩したりする夢を見るものですが、もしかしたら鳥たちも同じような夢を見ているのかもしれませんね。
マインドリン氏らチームは、今回の研究を他の種にも応用できる可能性があると考えています。