「男性より女性のほうが痛みに強い」は間違いである
痛みにかんする話をしているとしばしば「男性より女性のほうが痛みに強い」という説が聞こえてきます。
この考えは日本以外の国にも広く浸透しており、世界の常識になりつつあります。
しかし近年の研究により、動物でも人間でもオスのほうがメスよりも痛みに鈍感であり、オスのほうが痛みを感じる閾値が高いことが明らかになってきました。
(※特に圧迫と電気刺激による痛みは他の方法に比べて最も強い性差を生み出していることがわかりました)
同様の結果は実験室での実験だけでなく、医療の現場でも報告されており、男性と比べ女性はより強いレベルの痛みを、より多くの体の部位に、より頻繁に、より長期に渡り感じていると報告されています。
また一部の鎮痛剤には痛みの敏感さ(閾値)を下げる効果がありますが、男性よりも女性のほうが効きにくいことが示されています。
これらの事実は、男性と女性では痛みに対する感じ方が大きく異なることを示しており、男女では痛みに対して異なる生物学的アプローチがあることを示唆しています。
しかし肝心の、痛みの男女差をうみだす生物学的原因については、明らかにされていませんでした。
そこで今回、アリゾナ大学の研究者たちは痛みに対する反応を性別ごとに調べ、痛みの性差が生じる原因を調べることにしたのです。