カラスの屍姦(ネクロフィリア)とは?
多くの他の鳥と同様に、カラスにはペニスがありません。挿入行為ができない代わりに、彼らは互いの総排出腔(直腸・排尿口・生殖口を兼ねた器官)を接触させることで生殖行為を行います。しかし、これを行うためにはメスが腹ばいになっている状態では難しく、動画ではその状態の「死骸」にどうにか屍姦しようとオスが悪戦苦闘している様子が分かります。
「いや、これは仲間の生還を信じて『CPR(心肺蘇生)』を試みているんだ」と信じたくなる気持ちもわかりますが、スウィフト氏はこれが屍姦(ネクロフィリア)であると断言しています。
これに興味を持ったスウィフト氏は、さらなる実験を敢行。カラスの死体への反応を3年にわたって追い続けました。その結果、多くの場合が死体に対して「遠くから鳴く」などして仲間に警戒を促すいわゆる「葬式」行為をしていることが分かりました。そして、そのうち24%が死体をつついたり引っ張るなどして死体に対する接触行為をしており、4%が性的な行為に至ったとしています。
研究の中で、確かに屍姦は繁殖期に多く観察されましたが、単に性欲を満たす「相手」が近くにいないといった理由ではないようです。たとえ生きている相手が近くにいようとも、屍姦行為は行なわれました。
屍姦の理由についてスウィフト氏は、繁殖期の特定のカラスにおけるホルモンの異常が、いつもとは異なる刺激に対処できずに異常行動に至っている可能性があることを指摘しています。