マッチングアプリでも質の高い恋愛関係が築ける
近年、マッチングアプリは社会的に受け入れられ、世の中に浸透しています。
皆さんもおそらく、様々なマッチングアプリの広告を目にしたことがあるように、人気が高まっており、恋愛パートナーと出会う一般的な方法の一つになりつつあります。
しかしこの傾向にも関わらず、オンライン上で始まる恋愛関係は歴史的に懐疑の目に晒されてきました(※)。
(※ 一昔前はマッチングアプリという正式なサービスはなく、パソコン上の無料掲示板や出会い系サイトを使用していた)
マッチングアプリで相手を探すことは何となく安易であったり、感情的な繋がりよりも肉体的な魅力を優先したり、プロフィールを誤魔化している可能性があったり、あるいは相手が危険人物である恐れもあると考えられてきた背景があります。
利用者の中には「マッチングアプリで今の彼氏/彼女と出会ったと言うのが恥ずかしいから、友人の紹介で会ったと言うようにしている」という方も少なくないかもしれません。
その一方で、確実にマッチングアプリの利用者が増えていることは確かなことです。
研究主任のミッキー・ラングレー(Mickey Langlais)氏は「この研究を始めたときはマッチングアプリに対してネガティブなイメージを持っていましたが、多くの学生や友人がこれらのプラットフォームでパートナーと出会っていました」と指摘。
その上で「対面で直接出会ったカップルと比べて、マッチングアプリで始まった恋愛関係が本当に質的に劣るのかどうかを調べようと思いました」と話します。
今回の研究では、アメリカ南部に住む大学生233名を対象としました。
参加者は全員18歳以上で、恋愛経験に関するオンライン調査に回答してもらっています。
その中で、現在進行形で恋愛パートナーがいる参加者は120名であり、すでに別れたものの過去に恋愛パートナーがいた参加者は169名でした。
また現在交際中の120名のうち、86名は対面で直接的にパートナーと出会っており、34名はマッチングアプリでパートナーと知り合っています。
他方で、過去に恋愛パートナーがいた169名のうち、140名は対面で直接的にパートナーと出会っており、29名はマッチングアプリで出会っていました。
そして恋愛関係の質を測定するため、参加者には恋愛パートナーとの親密度や信頼性、恋愛関係の満足感などを評価する心理測定ツールである「Perceived Relationship Quality Components Inventory(PRQC)」という質問票に回答してもらっています。
ここで参加者は各項目について1〜7段階の評価をし、スコアが高いほど恋愛関係の質が高いことを示します。
データ分析の結果、マッチングアプリで始まった恋愛関係は、対面で直接始まった恋愛関係と比較して、恋愛の質に有意差は見られないことが判明したのです。
現在交際中のグループも過去に交際していたグループもともに、マッチングアプリで知り合った参加者たちは、対面で直接出会った参加者と同じように「恋愛関係に対して高い満足度や充実感があった」と答えていました。
つまり、マッチングアプリで始まった恋愛関係だからといって、質的に劣ることはなかったのです。
では、なぜマッチングアプリでも質の高い恋愛関係が築けるようになったと考えられるのでしょうか?