賢者タイムがないと主張する男性を観察した研究
賢者タイムがないと主張する男性を観察した研究 / Credit:canva
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【51分で10回】「俺に賢者タイムはない」驚異的体質の男性を調査した研究

2025.02.16 20:00:13 Sunday

一般的に、男性は射精後に性的興奮が一時的に低下し、しばらくの間は再び勃起や射精ができない「射精後不応期」に入ります。

いわゆる「賢者タイム」と呼ばれるこの現象は、性科学の分野では長年にわたって研究されてきました。

しかし、1998年に発表されたある研究では、「射精後不応期が存在しない」と主張する男性のケースが報告されています。

この男性は射精後も興奮が冷めることなく、短時間で連続して複数回の射精を経験できるという驚異的な能力を持っていました。

この特異なケースを研究したのは、アメリカのラトガース大学(Rutgers, The State University of NJ)の研究者、ビバリー・ウィップル(Beverly Whipple)博士ら3名の研究グループです。

彼らは長年にわたり性科学の研究を続けており、特にオーガズムや神経生理学に関する研究で知られています。

本記事では、彼らの研究内容を詳しく解説し、一般男性にとって役立つポイントについても考察していきます。

Male Multiple Ejaculatory Orgasms: A Case Study https://doi.org/10.1080/01614576.1998.11074222

射精後も興奮し続ける男性がいる!?

今回のケーススタディで研究対象となったのは、35歳の既婚男性でした。

彼は自らの性的特性について「射精後も性的興奮が維持され、すぐに次のオーガズムへと移行できる」と報告していました。

さらに、彼は健康状態が極めて良好で、毎日5回程度のオーガズムを経験しているとのこと。

性的刺激があれば、射精後すぐに次の勃起とオーガズムが可能で、4歳の頃から性的自己刺激を始め、15歳で初めて射精を経験したといいます。

研究者たちは、この男性の主張が科学的に立証できるのかを検証するため、ラボでの実験を行うことにしました。

研究チームは「賢者タイムがない」と主張する男性に出会い調査することに/Credit:Canva

実験の内容と驚きの結果

研究チームは、この男性に対して興味深い実験を実施しました。

まず、被験者がリラックスした状態で10分間待機し、その後、性的に興奮する映像を視聴しながら自己刺激を行いました。

そして、オーガズムを迎えた後も、継続的に性的刺激を行い、射精の回数や心拍数、血圧、瞳孔の拡張などの生理的反応を測定しました。

驚くべきことに、この男性は実験中に合計6回の射精を経験したのです。

さらに、最初のオーガズムから最後のオーガズムまでの間隔はわずか36分。

通常の男性であれば、一度射精した後はしばらく休息を取る必要がありますが、彼は一切の「賢者タイム」を持たずに連続してオーガズムを迎えることができました。

また、測定された生理的データによると、彼の心拍数や血圧、瞳孔の拡張度はすべてオーガズム時にピークを迎えており、通常の男性と同じ様にオーガズムを感じていることも確認されました。

ただ、被験者男性は実験環境が良くなく、十分なパフォーマンスが出せなかったと研究者に苦情を出しました。

実験では測定のために顎を装置に乗せて固定されていたので、十分な集中ができなかったというのです。それに空調が十分じゃなく室温が高くて快適性もなかった、と主張しました。

そこで研究者たちは、彼が十分なパフォーマンスを出せるよう、自宅環境で追試を行いました。

この追試では、男性に自宅でパートナーと性交を行ってもらい、射精するごとに新しいコンドームに替え、使用したコンドームを提出して精液を分析するという方法が取られました。監視などは行わなかったとのこと。

男性の主張に従い、自宅環境で追試が行われた/Credit:canva

結果、彼は性行為を51分間にわたって行い、合計10回の射精したといいます。

実際に彼は主張した通り、自宅で実験室以上のパフォーマンスを発揮したのです。

そして、収集された精液量は、研究室での実験と比べて明らかに多かったと報告されています。

精液量の推移は、最初の射精で7.1mlと最も多く、その後回数を重ねるごとに減少し、10回目の射精では、ほとんど検出できない微量の精液しか採取されなかったという。

いずれにせよ、彼には確かに賢者タイムがなく、驚異的と言えるほどの精力を研究者に見せつけました。

次ページなぜこの男性は「賢者タイム」がないのか?

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