歴史上の疑わしい薬と治療法:パート1
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人体由来の「死体薬」:食べて治す?
17世紀のイギリスでは、胃痛や痛風などの様々な病気に対して、いわゆる「死体薬」が処方されることがありました。
これは、人間の遺体を原料とした薬です。
例えば、黄疸には、髪の毛を粉末状にしたものを摂取することが良いとされていました。
また、止血には人間の頭蓋骨に生えた苔を塗布するといった方法が用いられていました。
さらにエジプトでは、ミイラを粉末状にして、内服薬や外用薬として利用していました。
特に止血や炎症の治療に効果があるとされ、高価な薬として取引されていました。
当時の医師たちは、死者のエネルギーや生命力が生者に移行すると信じていたのです。
19世紀の「安静療法」:ミルクとベッドで心身を癒す
19世紀、ペンシルベニア州の神経科医は、疲労や精神的ストレスを抱える女性に対して「安静療法(rest cure)」を勧めました。
これは、単にベッドで休息するだけのことではありません。
患者は数ヶ月間ベッドに横たわり、大量のミルクを摂取することが推奨されました。
この方法によって、急速に変化する社会の要求から女性を解放し、心身の回復を促すと考えられていたのです。
著名な作家であるヴァージニア・ウルフやシャーロット・パーキンス・ギルマンもこの療法を受けたとされています。