歴史上の疑わしい薬と治療法:パート2
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17世紀の「王の滴」:王も頼った頭蓋骨の薬
1685年、イングランド王チャールズ2世が脳卒中を患った際、医師たちは彼を救うためにあらゆる治療法を試しました。
その中には、後に「キングスドロップス(King’s Drops)」と呼ばれる薬もありました。
キングスドロップスのレシピは複雑で、アルコールと多くの材料から作られていました。
そして、その中で最も重要な材料だったのが、人間の頭蓋骨をすりつぶした粉末だったのです。
特に「健康で若く、非業の死を遂げた人」の頭蓋骨が理想的だと考えられており、癲癇(てんかん)や脳の疾患に効果があると信じられていました。
当然ながら、王を救うことはできませんでした。
針で繰り返し刺す治療法:刺激で毒素を排出?
現代でも鍼(はり)治療などは存在しますが、過去の治療法はもっと過激だったようです。
19世紀のドイツでは、病気を治すために皮膚に何度も針を刺す治療法が存在していました。
この治療法は、体内の毒素を排出し、血流を促進すると考えられていました。
棒の先に針が30本ついた特殊な医療機器も使用され、患者を効率的に刺すことができました。
特に、熱病や炎症の治療に用いられましたが、結果的に感染症のリスクを高めることになり、多くの患者が重篤な症状に陥りました。
ここまで紹介してきた「疑わしい治療法」に対して、当時の医師たちはこれらを「最善の方法」として推奨していました。
しかし、科学・医学の進歩とともに、これらの治療の危険性や非効率性が明らかになりました。
もちろん、現代医学も決して完璧ではなく、将来的には「現在の常識」が疑問視される時代が来るかもしれません。
医学の発展には、疑う視点と新たな研究が不可欠なのです。