チャールズ2世が死の淵で飲んだ「頭蓋骨の飲み薬」
1685年、イングランド王のチャールズ2世は脳卒中で倒れてしまいました。
医師たちはあらゆる手を尽くして王を救おうとしていましたが、王自身はある治療法が効果的だと信じていたようです。
それが医師であり化学者のジョナサン・ゴダードが作った飲み薬でした。
これは頭蓋骨を含んだ飲み薬であり、後に「キングスドロップス(King’s Drops)」として知られるようになります。
キングスドロップスのレシピは複雑で、アルコールと多くの材料から作られていました。
そして、その中で最も重要な材料だったのが、人間の頭蓋骨をすりつぶした粉末だったのです。
しかも頭蓋骨なら何でもいいというわけではありません。
理想的なのは、「健康で若く、非業の死を遂げた人」の頭蓋骨だというのです。
つまり死刑や戦争の際に得られる頭蓋骨こそが、キングスドロップスに最適な材料だったのです。
晩年、医師たちは王の喉にキングスドロップスを毎日40滴も流し込みました。
当然ながら、望んだ効果が発揮されるわけもなく、逆に王の死を早めたかもしれません。
頭蓋骨の飲み薬はチャールズ二世を救えませんでしたが、多くの人は、頭蓋骨の薬を摂取するのをやめませんでした。