幻とされた巨大ヨコエビ
アリセラ・ギガンティアは、体長30センチを超えることもある世界最大級の端脚類(ヨコエビの仲間)です。
他の端脚類のほとんどが、ほんの指先くらいの大きさしかないことを考えると、異常なサイズであることがわかります。

この種は、1899年に初めて記載されて以来、記録や標本が極めて限られていたことから、「非常に希少な生物」とされてきました。
特に1970年代以降、その姿がカメラに映ったのはごくわずか。
2000年代に入ってからも、南太平洋のケルマデック海溝などでごく少数が確認されただけで、ほとんどの深海探査では出会うことがありませんでした。
そのため、研究者の間でも「個体数が少ないのでは」「絶滅寸前かもしれない」との見方が広がっていたのです。
しかし問題は“数が少ない”ことではなく、“探している場所が偏っていた”ことにあったのかもしれません。
研究チームは今回、過去の記録を徹底的に調査し、さらに独自に深海探査を行うことで、驚くべき事実にたどり着きました。