誕生初期に「小型化」が起こった理由とは?
研究チームは今回、現生種と絶滅種のDNA、化石形状、生活環境、食性、移動様式などのデータを統合し、3500万年以上前までさかのぼるナマケモノの進化系統樹を作成しました。
すべてのデータを組み合わせた結果、ナマケモノのサイズ変化は生息環境、特に気候と密接に関連していたことが明らかになっています。
まずナマケモノの最初の祖先が地球に現れたのは、今から約3500〜3700万年前の南アメリカです。
当初のナマケモノは、現在のグレート・デーン犬ほどの大きさをもつ地上性動物で、樹上生活はしていませんでした。
その後、2000万年近くにわたってナマケモノのサイズはほぼ変化しませんでしたが、そこに大事件が起こります。
現在のワシントン州からアイダホ州、さらにオレゴン州やネバダ州を貫くように、巨大な火山裂け目が発生し、マグマがあふれ出たのです。

この火山活動は約75万年にわたって続き、地球は温暖な時代に突入しました。原因は火山由来の温室効果ガスとされています。
このとき、ナマケモノは小型化します。
温暖化によって降水量が増え、森林が広がり、樹上生活に適応した小型ナマケモノの生息環境が増えたためと考えられます。
また、体のサイズを小さくすることは、暑さへの適応手段としても知られています。
その後、火山活動が終息しても温暖な気候は約100万年続き、やがて再び地球は寒冷化に入りました。
そうしてナマケモノは大型化の道を歩み始めるのです。