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変形しながら空から陸へと移行するロボットを開発 / Credit:Ioannis Mandralis(Caltech)et al., Communications Engineering(2025)
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”変形してから”じゃない!”変形しながら”空陸を移行するロボットが誕生!

2025.06.02 11:30:42 Monday

CG・アニメ作品では、空を飛ぶロボットが地上へと舞い降り、走行モードにスムーズに変形する場面がよく登場します。

地上から空へ向けてジャンプしながら空中で変形して飛行モードになる演出も定番です。

でも、これって実は現実のロボット工学では“ものすごく難しい”技術なのです。

そんなアニメのような動きを、ついに現実のロボットが可能にしました。

この革新的な技術を開発したのは、アメリカ・カリフォルニア工科大学(Caltech)の研究チームです。

彼らは、空中で形を変えながら地上と空中をスムーズに行き来できる空陸両用ロボット「ATMO」を開発しました。

この研究成果は、2025年4月19日付の『Communications Engineering』誌に掲載されました。

Flying robot morphs in mid-air to land and roll on wheels https://newatlas.com/robotics/atmo-flying-wheeled-morphing-robot/ Mid-Air Transformation Helps Flying, Rolling Robot to Transition Smoothly https://www.caltech.edu/about/news/mid-air-transformation-helps-flying-rolling-robot-to-transition-smoothly
ATMO: an aerially transforming morphobot for dynamic ground-aerial transition https://doi.org/10.1038/s44172-025-00413-6

空陸両用ロボットの「飛行と走行のギャップ」を埋める挑戦

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空陸両用ロボット「ATMO」。変形しながらの領域移行は難しい / Credit:Caltech

これまでも飛行と走行の両方をこなすロボットは存在していました。

しかしそのほとんどは、「飛行モードから着地して停止した後に変形する」「走行状態から一旦立ち止まって飛行モードに変形する」といったように、変形と移動を別々に行う必要がありました。

なぜなら、空中で機体の形を変えるという行為は、ロボットのバランスを大きく崩しやすく、非常に高度な制御技術と設計が要求されるからです。

飛行中にパーツの角度や位置が変われば、空気抵抗や推進力の方向が変わり、墜落のリスクが飛躍的に高まるのです。

そんな中、Caltechの研究チームは、「変形しながら」走行・飛行のモードを切り替えることができるロボット「ATMO」を開発しました。

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変形しながら、停止せずに、地上へと移行 / Credit:Ioannis Mandralis(Caltech)et al., Communications Engineering(2025)

ATMOは全長約65センチ、重量約5.5キロのロボットで、4本のアームの先にはそれぞれ「車輪」と「プロペラ」が一体化された“多機能スラスター”が取り付けられています。

飛行モードでは、アームが水平に開いてクアッドコプターとして空を飛ぶことができます。

そして地上に近づくと、プロペラアームの角度を変えながら着地し、車輪として地面を走行することができます。

ATMOは一時停止せずとも「地上→空」「空→地上」とスムーズに領域を変更することが可能なのです。

では、どうしてATMOはバランスを崩さずに、空中で変形しながら、走行と飛行のモードを切り替えることができるのでしょうか?

次ページ高度な制御アルゴリズムが「停止なしの空と陸の移行」を可能にする

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