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Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
technology

「光る藻類」を利用した「生きているランプ」を作製

2026.05.08 18:00:52 Friday

夜の海で、波が青白く光る光景を見たことがある人もいるかもしれません。

その幻想的な輝きの正体の1つが、生物発光する藻類(そうるい)です。

米コロラド大学ボルダー校(UCB)の研究チームは、この「光る藻類」をハイドロゲルに閉じ込め、3Dプリントによって青く光る立体構造を作製しました。

近い将来、この技術を利用した環境にやさしい「生きたランプ」が誕生するかもしれません。

研究の詳細は2026年5月6日付で科学誌『Science Advances』に掲載されています。

Glowing algae could power the lamps of the future https://www.popsci.com/environment/glowing-algae-lamps/ Bioluminescent algae’s blue light harnessed to make 3D-printed shapes https://www.theguardian.com/science/2026/may/06/bioluminescent-algae-blue-glow-harnessed-3d-printed-shapes-science
Chemical stimulation sustains bioluminescence of living light materials https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.aee3907

一瞬だけ光る藻類を「長く光らせる」には?

今回使われたのは、「ピロキスティス・ルヌラ(Pyrocystis lunula)」という海洋性の単細胞藻類です。

この藻類は、波に揺られたり、物理的な刺激を受けたりすると、青白いを放ちます。

【海面で発光するP. ルヌラの画像がこちら

浜辺に打ち寄せる波が、まるで星屑を散らしたように光ることがありますが、そこにはこうした生物発光藻類が関わっている場合があります。

ただし、自然な状態での発光は非常に短いものです。

P. ルヌラは刺激を受けると光りますが、その光は通常、数ミリ秒ほどしか続きません。

これでは、照明や発光材料として使うにはあまりに短すぎます。

そこで研究チームは「藻類の発光スイッチを別の方法で入れられないか」と考えました。

最初に試したのは、波のような機械的刺激を再現する方法です。

しかし、藻類をゆっくり押しつぶすように刺激しても、思うような発光は得られませんでした。

機械的な刺激は自然界では発光のきっかけになりますが、実験室で安定して制御するには難しい面があります。

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フラスコに注がれている発光するP. ルヌラ/ Credit: en.wikipedia

そこでチームは、酸性や塩基性の溶液を使う方法に切り替えました。

過去の研究から、P. ルヌラの発光には、細胞内の発光に関わる部分のpH変化が関係していると考えられていました。

つまり、外から化学的な刺激を与えれば、波で揺らさなくても発光を引き起こせる可能性があったのです。

実験では、トマトジュースに近い酸性度を持つpH4の溶液と、ハンドソープに近いpH10の塩基性溶液が使われました。

その結果、どちらの条件でも藻類は光りました。

特に酸性溶液を加えた場合、P. ルヌラは明るい青い光を最大25分間にわたって放ちました。

一瞬で消えてしまうはずだった海のきらめきが、化学刺激によって「しばらく点灯する光」へと変わったのです。

研究者は、暗い実験室でフラスコ内の藻類が光り始めた瞬間、最初はノートパソコンの光が反射しているのかと思ったと語っています。

しかし実際には、フラスコの中の藻類そのものが、生きたラメのように青く輝いていました。

次ページ3Dプリントで作る「生きている発光材料」

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