なぜプールに置き去りに?
このシャチの親子はフランス南部・リヴィエラにある「マリンランド・アンティーブ」という海洋施設で飼育され、かつてはショーを行ったりして活躍していました。
しかしフランスでは動物愛護の観点から、2021年に海洋哺乳類を使ったショーが法的に禁止され、同施設も来場者数の減少とともに2025年1月に閉鎖。
ところが、施設に取り残されたシャチの親子の移送先が決まらず、プール内での生活を余儀なくされているのです。
そして今月初め、動物保護NGO「TideBreakers」がドローンで撮影した映像をSNSに投稿したことが、事態の転機となりました。
それがこちらです。
映像には、緑色の藻が繁茂したタンクの中を、ウィキとケイヨがぐるぐると回遊している様子が収められています。
これに対しマリンランドの運営側は「藻は春に自然発生するもので、ろ過された海水に含まれる藻類の胞子が原因。定期的にブラッシングして除去しており、動物に害はない」と説明しています。
さらに「施設には現在も約50人のスタッフが勤務しており、シャチとイルカの健康管理に努めている」と述べています。
しかしこの説明に納得しない声は多く、SNS上では「これは動物虐待ではないか」「一刻も早く移送すべきだ」という意見が相次ぎました。
映像公開後には、施設職員への殺害予告を含む脅迫まで寄せられたといい、波紋はさらに広がっています。
かつて26年間マリンランドを運営していたマイク・リデル氏も「これは想定内の藻の繁殖だ」と映像に理解を示しましたが、それでも「こうした施設に長期間シャチを閉じ込めておくべきではない」という意見には同意を示しています。