ツインテールの正体は「寄生生物」?
この魚の正体は「ラットテイルフィッシュ(grenadier/rattail fish)」と呼ばれる、よく知られた深海魚の一種でした。
ネズミの尾のような長い尾を持つことからこの名前で知られています。
ラットテイルフィッシュは北極から南極まで広く分布し、水深400メートルから3000メートル以上の深海に棲んでいます。
大きな頭部と鋭い目、そして細長い体が特徴で、底生性の捕食者として小型甲殻類や魚類を主に捕食します。

では、“肩から生えたツインテール”の正体は何だったのでしょうか。
それは学名「ロフーラ・シダティ(Lophoura szidati)」というカイアシ類(copepod)の一種、つまり小型甲殻類の寄生生物でした。
このカイアシ類は、メスが魚の筋肉に口器を突き刺し、体液や血液を吸うことで生きています。
映像では、奇遇にも2匹のカイアシがラットテイルフィッシュの左右の頭部にしがみついていたのです。
そして、体外に長い「卵のう」を2本ぶら下げており、 これがツインテールのように見えていたというわけです。
卵のうには数百個の卵が入っており、孵化すると「ノープリウス幼生」と呼ばれる遊泳型の幼生になり、新たな宿主を探して海中を浮遊します。
寄生生物と聞くと、気持ち悪く感じるかもしれませんが、実はこのような関係性は深海では珍しくありません。
ラットテイルフィッシュに寄生するカイアシ類は南極海でもよく見られる存在で、こうした生態系の一端を知ることができる貴重な映像だったのです。
こうした映像や発見は、私たちの自然観や生物の多様性への理解を広げてくれます。
今回の発見は「深海のツインテール魚」というユニークな表現を通して、誰もが楽しみながら深海の驚異に触れるきっかけとなるでしょう。
何か初耳の深海生物の名前を聴いたり、映像を観たりしたので、「えっ…。そんな事例もあるだなぁ。」と思った。
自分達が生きてる世界から見れば寄生かもしれませんが、彼らから自分達を見れば❛寄生❛と思われてるかもしれません…