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恋人に「与えすぎている」サインとは? / Credit:Canva
psychology

恋人に”与えすぎて”関係が壊れる人の特徴とは?

2025.09.19 11:30:51 Friday

恋愛関係において相手に「与える」ことは大切ですが、そのバランスが崩れると、かえって関係を壊す原因になることがあります。

米国の心理学者マーク・トラヴァース博士(コーネル大学およびコロラド大学ボルダー校で学位取得)は、「与えすぎ(overgiving)」 という概念を紹介しています。

これは、恋愛において必要以上に尽くしすぎることで、自分の境界線を失い、関係を不健康にしてしまう状態を指します。

トラヴァース博士によれば、恋愛における努力は本来、双方がバランスよく示すべきものであり、一方に偏ると不満や不安が生まれ、やがて関係自体が揺らいでしまう可能性があります。

今回は、研究に基づく「与えすぎの2つのサイン」について詳しく見ていきましょう。

2 Signs You’re ‘Overgiving’ in Your Relationship https://www.psychologytoday.com/us/blog/social-instincts/202509/2-signs-youre-overgiving-in-your-relationship
An Actor-Partner Model of Relationship Effort and Marital Quality https://doi.org/10.1111/fare.12096 Beyond reciprocity: Relational sacrifices in romantic partners https://doi.org/10.1177/02654075221080997 Who Is Afraid of Romantic Relationships? Relationship Fears and Their Connection with Personal Values and Socio-Demographic Variables https://doi.org/10.3390/bs15020191

与えすぎのサイン①:「不満や憤り」

まず理解すべきは、「与えすぎ(overgiving)」とは単に親切にすることではなく、「相手のために自分を犠牲にし続ける行動」 を意味するという点です。

たとえば、相手のために自分の時間や体力をたくさん使ったり、気持ちの面でも相手を思いやり続けたり、何度も許したりチャンスを与えたりします。

そうしたことが重なると、自分が疲れきってしまうのです。

この「与えすぎ」のサインの1つが、関係における「不満や憤り」です。

たとえば、「休日のたびに自分の希望を抑えて相手に合わせたり、相手が落ち込んでいるときには何時間も慰め続けるのに、自分が弱ったときにはほとんど気にかけてもらえない」と感じるでしょうか。

そんな経験が続くと、「私ばかり頑張っている」という感情が募り、やがて愛情が苦い思いに変わってしまいます。

この現象は、研究でも裏付けられています。

2014年に795組の既婚カップルを対象に行われたブリガムヤング大学(BYU)の研究では、配偶者の努力をどう認識しているかが、夫婦の満足度や離婚リスクに直結することが示されました。

努力が双方に感じられないと、不満が積み重なり関係は揺らぎやすくなるのです。

さらに2022年の西南大学(Southwest University)実験研究では、72人の参加者が「冷水に手を入れる課題」に挑戦し、恋人のためであれば友人のためよりも長く痛みに耐えることが確認されました。

これは「愛する人のためなら犠牲を厭わない」という人間の特性を示しています。

だからこそ、犠牲が一方的な状況も生じやすく、これが続くことで心理的な負担が膨らみやすいことも示唆しています。

つまり、愛情に基づく犠牲は自然な行動ですが、見返りがまったくない状態で続けば、不公平感が強まり、関係そのものを不安定にしてしまうのです。

では、自分の「与え方」を見直すためには、どうすれば良いでしょうか。

たとえば、「私は本当に心から与えたいから行動しているのか、それとも相手にもっと好きになってほしいからやっているのか?」 「この行動自体で自分が満たされるのか、それとも何かお返しを期待しているのか?」 と、立ち止まって自分に問いかけてみましょう。

もし「愛されたいから頑張ってしまう」という気持ちが強い場合は、いったん立ち止まることも大切です。

自分が本当に望む与え方や、無理のない範囲を見つめ直すことで、より健康的な関係に近づくことができます。

次ページ与えすぎのサイン②:「過剰補償」

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