氷が隠し持っていた「電気的性質」とは?

氷は言うまでもなく、地球上でもっともありふれた物質の1つです。
氷河や氷山、山の雪、そして極地の氷床など、地球のいたるところに存在しています。
これほど身近な物質であっても、その内部の性質はまだ完全には解明されていません。
私たちが学校で習うように、水の分子(H₂O)は「酸素原子」と「水素原子」からできており、電気的にプラスとマイナスの性質をもっています。
しかし水が凍って氷になると、分子が規則正しく並び、全体としてはそのプラスとマイナスが打ち消し合うため、通常の氷は「電気を生み出す性質=圧電性(piezoelectricity)を持たない」と考えられてきました。
ところが今回の国際共同研究は、氷を“曲げる”ことで電気が発生することを初めて実証しました。
これは「フレキソエレクトリシティ」と呼ばれる現象で、物質に不均一な力、つまり片側から押したり曲げたりしたときに、電気的な偏り(分極)が生じ、電圧が発生するという仕組みです。
セラミック材料の一部には以前から確認されていた性質ですが、氷にもこの特徴があるとは想定外でした。