会話は自然にできるものではない?会話の基本1~3
読み書きやプレゼンの方法は学校で習うのに、なぜか会話のやり方は学びません。
実際には、会話はとても繊細で高度なスキルを要求される行動です。
「話すタイミングを見極め、相手の関心を推測し、自分の話に適切な文脈を添えて伝える」
それらをリアルタイムでこなさなくてはなりません。
意識せずに話していると、うまくいかないのは当然なのです。

では、どうすれば会話を改善できるでしょうか。
クラフト氏が示した7つの基本のうち、まずは前半の3つを見ていきましょう。
1. 交互に話す
会話の基本中の基本は、「お互いが順番に話すこと」です。
しかも、その“話す量”がある程度釣り合っていることが理想です。
一方が延々と話し続け、もう一方は聞いてばかり……という状況は、聞き手に強いストレスを与えます。
例えば、あなたが友人に「最近どう?」と尋ねたら、30分間ずっと相手の近況報告が続いたとします。
あなたの話すチャンスは訪れず、結果的に「ただの報告会だったな」と感じてしまうかもしれません。
そんな時は、「そういえば〇〇の話、聞かせて?」と相手に自然に返したり、「他のみんなはどう?」と周囲に目を向ける発言で、会話の“ターン”を調整することが大切です。
ちなみに、クラフト氏の父は、家族の会話に割って入るとき「ちょっと黙ってくれ、今オレが割り込んでるんだから」と冗談まじりに言っていたそうです。
こうした軽妙なユーモアは、場を和ませるだけでなく、自然にターンを引き寄せるテクニックとしても使えます。
2. 話題をつなげる

良い会話には“流れ”があります。
直前に話された情報に、新しい情報を加えるのが、自然な展開です。
例えば、「最近雨が多いね」という話に、「私はラム肉が食べたいな」と返すのはNGです。
これは“新しい情報”同士が衝突してしまい、会話の糸が切れてしまいます。
逆に、「そうだね、洗濯物が乾かなくて困ってるよ」と返せば、会話はスムーズに続きます。
また、15分も前の話題に突然戻るのも避けた方が無難です。
短期記憶の範囲を超えているため、相手に「何の話?」と思わせてしまうことがあります。
3. 自己表現ではなくコミュニケーションの意識を持つ
会話には、「伝えたいことがあり、それを表現し、相手に届く」ことが求められます。
しかし時に私たちの言葉は、単なる“自己表現”になってしまうことがあります。
例えば、職場で「今日は本当にひどい一日だった!」と一方的に愚痴をぶつけ続けた場合、それは「コミュニケーション」ではなく、単なる「発散」です。
もちろん、時には感情の吐き出しも必要です。
でも、それが一方的に続けば、聞き手は消耗してしまいます。
感情を出した後は、「あなたはどうだった?」と聞き返すなどして、相手の発散を受け止めましょう。
ギブ&テイクの関係、双方向のやりとりを意識することが大切です。
会話を改善するコツはまだまだあります。次項でそのポイントの4~7を紹介します。