スウェーデン発祥の「優しいマッサージ」でADHDを改善できる?
ADHD(注意欠如・多動症)の治療には一般に、専門家によるカウンセリングや行動療法、および投薬による薬物治療が行われています。
これらはいずれもADHDに対して改善効果が示されているアプローチですが、一方で患者に対して心理的・身体的にいくらかの負担を課すことも事実です。
カウンセリングや行動療法では普段の思考や行動を変える訓練を必要としますし、薬物治療は副作用などのデメリットがないとも限りません。
そこでADHD患者にとってより負担が少ない非薬理学的な治療法が求められていました。
専門家らは今、その新たな治療法の一つになりそうな方法としてマッサージに注目しています。
中でもADHD患者に対して最適とされるのは「タクティール・マッサージ」です。
タクティール・マッサージとはスウェーデン発祥の緩和ケア療法であり、ツボや筋肉を強めに刺激する従来のマッサージとは違い、優しく「触れる(tactile)」ことを基本にしています。
穏やかな肌のふれあいを通してオキシトシン(幸せホルモンとして知られる)の分泌を促し、体をリラックスさせる副交感神経を活性化させ、コルチゾール(ストレスホルモン)のレベルを低下させる効果があるのです。
(実際のタクティール・マッサージの動画は記事の最後に添付しておきました)
特に子供や青年期にあるADHD患者は外部ストレスへの感受性が高く、気持ちを落ち着けるのが難しいことが知られています。
そのため、タクティール・マッサージによって心の落ち着きを取り戻し、多動性や不注意といったADHD症状の改善が期待できると考えられているのです。
そこで研究チームは今回、10代のADHD患者を対象としたタクティール・マッサージの効果検証を行いました。