ナルシシズムの6つのタイプ
SNSは単なる情報発信だけの場ではありません。
それは「自分を見てほしい」という欲望、つまりはナルシシズムに特徴的な「承認欲求」をくすぐる場所でもあります。
ナルシシズムとは心理学において、自己陶酔や自己愛が極端に強い状態、またはそのような性格を持つ人を指す用語です。
ナルシストは、他者からの注目や称賛によって自尊心を維持しようとするため、「いいね」や「フォロワー数」に敏感になります。
SNSはそうした評価を手軽にかつ即座に与えてくれる最良の環境なのです。
1枚の盛れた写真、感動的な文章、刺激的な発言――それらに反応が返ってくるたび、脳がドーパミンを分泌して快感を与えます。
そうなると人は「次の投稿」「次のいいね」を求めて、SNSにどんどんのめり込んでいくのです。

そんな中、研究チームは2020年から2021年にかけてポーランド在住の339人を対象に、6つの異なるナルシシズムのタイプとSNS依存との関係を詳細に調査しました。
そのナルシシズムの6つのタイプは以下の通りです。
・称賛
特徴:自分が魅力的で優れた存在として他者に認められたいという欲求
行動例:SNSで完璧な自分を演出する、称賛のコメントを求めて投稿する
心理的背景:自尊心の維持のために、ポジティブな注目を集めたいという動機
・対抗
特徴:他人を引き下げることで相対的に自分を優位に置こうとする傾向
行動例:他人を批判したり、競争で勝つことにこだわる
心理的背景:他者との比較に強く反応し、劣等感から自己防衛的になる
・敵意
特徴:他者に対する攻撃性や警戒心が強く、対人関係が対立的になる傾向
行動例:批判的・皮肉な投稿、攻撃的なコメントへの過剰反応
心理的背景:自分を守るために他人を敵視しがちで、防衛的・排他的な態度を取る
・孤立
特徴:自分は特別で理解されないという感覚から、他者との関係を避ける傾向
行動例:表向きはSNSで活動していても、実生活では孤立している
心理的背景:内面の脆弱さや拒絶への恐れから、社会的関係を避ける
・英雄性
特徴:自分を「他人のために犠牲を払う特別な存在」として誇示する傾向
行動例:他人を助けた話や苦労話をSNSで強調する
心理的背景:他者に認められたいが、直接の賞賛ではなく「崇高さ」を通じて得たい
・神聖性
特徴:高潔さ・道徳的優越を通じて自分を特別視する傾向
行動例:倫理的、宗教的な主張を強調し、自分の道徳観を正当化する
心理的背景:自分は「他者とは違う」高次な存在だという認識
そして調査の結果、「神聖性」を除くすべてのタイプのナルシシズムがSNS依存傾向と正の関連を持つことが明らかになりました。
つまり、自分をより特別に見せたい、または他人より優位に立ちたいという欲求が強い人ほど、SNSに執着しやすいことが示されたのです。