次は日本書記か?AI×人文学が切り開く著者の正体
今回の研究によって、聖書の著者に関する長年の議論に客観的な証拠がもたらされました。
申命記系の文書と祭司文書の違いが定量的に示されたことは、従来の聖書学の知見をデータで裏付ける成果です。
また、『サムエル記』における聖櫃物語の分析結果は、テキストの成り立ちに関する新たな洞察を提供しました。
機械が示した結論は、人間の解釈だけでは得られなかった視点を加えうることを示しています。
研究者らは「本手法の主目的は、不明瞭だった執筆者集団ごとの言語・文化的特徴を再構築することにある」と強調しています。
聖書は数世紀にわたり様々な時代・場所で書き継がれてきたため、グループごとの特徴が明らかになれば聖書テキストの成立過程をより深く理解できるでしょう。
さらに今回開発された手法は、聖書以外の古代文書にも応用可能です。
例えば歴史上の人物が残した文書の真贋判定にも役立つかもしれません。
この技術を使えば日本の古い文献の分析についても、AIの目を利用できるようになるかもしれません。
研究を主導したシラ・ファイゲンバウム・ゴロヴィン助教(デューク大学)は「もしリンカーン大統領が書いたとされる文書の断片が見つかったとして、それが本物か偽物かを調べるのにもこの手法が役立つでしょう」と述べています。
実際、研究チームは今後死海文書など他の古代文献にもこの方法を適用し、新たな発見につなげたいとしています。
将来的には古代ギリシャ・ローマの古典やシェイクスピア作品など、他の歴史的文献への応用も期待されています。
ハイファ大学のイスラエル・フィンケルシュタイン教授は「この研究は古代文書を分析する新たなパラダイム(枠組み)を提示するものだ」と評価しています。
実際、本研究はデジタル人文学と呼ばれる分野における一大マイルストーンとも言えるでしょう。
自然科学系と人文系の研究者が力を合わせることで、人類の文化遺産をデータに基づき分析するという新しいアプローチが現実のものとなりました。
共同研究に参加したファイゲンバウム・ゴロヴィン助教は「科学と人文学の間の独特な協働です。驚くべき共生関係で、学問の境界を押し広げる革新的な研究に関われて幸運です」と語っています。
古代の知恵と最新AI技術の出会いが、生きた歴史をさらに深く読み解く鍵となりつつあります。
科学の目で読み直すことで、聖書という人類共有の遺産に新たな光が当てられ始めました。
これからもAIは人文学の強力な相棒となり、過去から未来への架け橋となる発見をもたらしてくれるでしょう。
スタッフロールつけたらすごい長さになりそう。
本編より長いスタッフロールの出来上がり。
原論文のイントロと方法を確認すると
この研究はAI手法(DNN機械学習やLLM)ではなく
Pythonで記述した統計的言語解析手法(頻度や共起の確率分布とクラスタリング)を使っています。
従来手法やAI的手法と比較して
①複数の微細な差異による母集団の相違を検出し易いらしい
②判定理由や文脈をトレースし易いらしい
→人文系研究者にとりわかり易く、
ブラックボックスAI問題も無い
③短かい文や説でも著者識別可能
といったメリットがあったという話のようです
何でもAI AIと嘯く風潮、申請文学には必要なのかも知れませんが
うんざりですね。