『いいえ』の使い方でバレた!――AIが旧約聖書を「寄せ集め本」だと判定
『いいえ』の使い方でバレた!――AIが旧約聖書を「寄せ集め本」だと判定 / Credit:Canva
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『いいえ』の使い方でバレた!――AIも旧約聖書を「寄せ集め本」だと判定

2025.06.13 22:00:07 Friday

アメリカのデューク大学(Duke)で行われた研究によって、旧約聖書の「書き手のクセ」をAIが統計解析で浮かび上がらせ、3つの「書記グループ」を高精度に判別することに成功しました。

研究では創世記から列王記までの九書(エンネアテウク)から厳選した五十章を対象に、単語の語根頻度と組み合わせパターン──たとえば「いいえ」「どの」「王」といった平凡な語の使い分けだけで84%の正解率を達成しました。

さらに、『サムエル記』に描かれた契約の箱(聖櫃)の物語のように、これまで一続きの物語だと考えられてきた部分も、実際には異なるグループによって書かれている可能性が高いことが示されました。

AIが“言葉の指紋”を手掛かりに三千年越しのゴーストライター探しを進化させたのです。

この手法は聖書だけにとどまらず他の古代文書にも応用可能で、歴史文書研究に新しい道を開くものです。

私たちは聖書の聖書の舞台裏をどこまで解き明かせるのでしょうか?

研究内容の詳細は2025年06月03日に『PLOS ONE』にて発表されました。

Critical biblical studies via word frequency analysis: Unveiling text authorship https://doi.org/10.1371/journal.pone.0322905

AI が暴いた「言葉のDNA」

AI が暴いた「言葉のDNA」
AI が暴いた「言葉のDNA」 / Credit:Canva

「聖書は誰が書いたのか」という謎は、200年以上にわたり聖書学者たちを悩ませてきました。

聖書は長い時間をかけて複数の書き手によって執筆・編集されたと広く考えられており、同じ物語が異なる版で組み込まれているケースもあります。

しかし、詳細な文体分析が積み重ねられてきたにもかかわらず、それらの違いを体系的かつ客観的に検証するデータ駆動型の方法はこれまで存在しませんでした。

そこで米デューク大学やイスラエル・ハイファ大学などに所属する国際研究チームが、AI(人工知能)と統計モデルを駆使してこの難問に挑んだのです。

研究チーム(数学者、考古学者、聖書学者、物理学者、計算機科学者などで構成)は、主観的な思い込みや手作業でキーワードを選ぶことなく、計算機によって聖書の文体を客観的に分類できるかを追求しました。

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