たった数分の行動で幸福感が高まると判明

結果は非常に有望なものでした。
7日間の介入の後、参加者の心理的・身体的指標には次のような有意な変化が見られました。
ウェルビーイング(生活満足感、人生の意味など)、ポジティブ感情(希望、楽しさ、驚きなど)は、幸福感への自己効力感(自分で幸せを作り出せる感覚)がそれぞれ向上したのです。
また主観的なストレスも低下したと報告されました。
さらに、自己評価による健康状態と睡眠の質も、わずかながら有意に向上しています。
また、より積極的にマイクロ・アクトを行った人ほど改善幅が大きかったとも報告されています。
人はわずか1日僅か数分の小さな活動でも、自分の幸福感を大きく変化させられるのです。

加えて、このマイクロ・アクトの効果は、社会的に不利な立場にある人ほど、大きな効果を及ぼすことが分かりました。
教育水準が低い人、経済的に困窮している人、人種的・民族的マイノリティの参加者は、その他の層と比べて顕著な幸福感の向上を報告したのです。
研究者はこれを「ベースラインの幸福度が低いほど、改善余地が大きくなる」という心理学的傾向と説明しています。
さらに、若年層(18〜34歳)は高齢者よりもウェルビーイングやストレス低下において強い効果を示していました。
もちろん、この研究にはいくつかの限界があり、ウェブベースでの自己選択型参加だったため、モチベーションの高い人が偏って参加している可能性も否定できません。
それでもなお、研究チームはこのアプローチが「低コストかつ高効率な公衆衛生施策」として大きな可能性を持つと結論づけています。
「ほんの少しの行動で、私たちの幸福は変えられる」はずです。
まずは「自然の動画を見る」「感謝リストを作る」など、すぐに始められることをやってみて、自分でもその効果を実感してみると良いでしょう。