現代と恐竜時代の空気の違い
測定の結果、約1億5000万年前のジュラ紀後期にはCO₂濃度がおよそ1200ppm、その後の白亜紀後期でも約750ppmに達していたと推定されました。
これに対して、現在の大気中CO₂濃度は約430ppmです。
つまり、恐竜たちは私たちの2〜3倍以上も濃い二酸化炭素の中で生きていたことになります。
気温が高く、植物の成長も旺盛で、地球全体が温室のような環境だったと考えられます。
さらに興味深いのは、個体ごとの歯の違いから「短期間のCO₂急増」が読み取れた点です。
特にティラノサウルスと竜脚類の歯の中に見られた酸素17の異常値は、同時代の他の恐竜よりも際立って高かったのです。
これは個体が生きていたまさにその時期に、空気中のCO₂濃度が急激に上昇していたことを示しており、大規模な火山活動が原因であった可能性が高いと考えられています。
実際、この時代には巨大な噴火イベントが何度も起きていたことが地質記録から知られています。
つまり、恐竜の歯は「地球の息づかい」を記録していたのです。

今回の研究は、恐竜時代の空気を「直接復元」することに初めて成功した画期的な成果です。
しかも、歯という硬い組織が1億年以上も酸素の痕跡を残していたことは、科学的にも驚くべき事実です。
今後、チームはさらに古い時代─約2億5200万年前に起きた「ペルム紀末の大量絶滅」の時期にも同じ手法を適用しようとしています。
この大絶滅は、火山活動によって地球が長期にわたって灼熱の空気に包まれたことが原因とされており、当時の大気の構成を再現することで、絶滅の真相に迫れるかもしれません。
急激にガスの組成変わっても一応呼吸はできていたわけですね。
でも気分とかはそれ以前とはやっぱり変わったりしたのかな。