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paleontology

歯の化石から「恐竜時代の空気」の復元に成功、世界初の成果 (2/2)

2025.08.05 12:00:23 Tuesday

前ページ恐竜の歯に刻まれた「空気の記憶」

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現代と恐竜時代の空気の違い

測定の結果、約1億5000万年前のジュラ紀後期にはCO₂濃度がおよそ1200ppm、その後の白亜紀後期でも約750ppmに達していたと推定されました。

これに対して、現在の大気中CO₂濃度は約430ppmです。

つまり、恐竜たちは私たちの2〜3倍以上も濃い二酸化炭素の中で生きていたことになります。

気温が高く、植物の成長も旺盛で、地球全体が温室のような環境だったと考えられます。

さらに興味深いのは、個体ごとの歯の違いから「短期間のCO₂急増」が読み取れた点です。

特にティラノサウルスと竜脚類の歯の中に見られた酸素17の異常値は、同時代の他の恐竜よりも際立って高かったのです。

これは個体が生きていたまさにその時期に、空気中のCO₂濃度が急激に上昇していたことを示しており、大規模な火山活動が原因であった可能性が高いと考えられています。

実際、この時代には巨大な噴火イベントが何度も起きていたことが地質記録から知られています。

つまり、恐竜の歯は「地球の息づかい」を記録していたのです。

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Credit: canva

今回の研究は、恐竜時代の空気を「直接復元」することに初めて成功した画期的な成果です。

しかも、歯という硬い組織が1億年以上も酸素の痕跡を残していたことは、科学的にも驚くべき事実です。

今後、チームはさらに古い時代─約2億5200万年前に起きた「ペルム紀末の大量絶滅」の時期にも同じ手法を適用しようとしています。

この大絶滅は、火山活動によって地球が長期にわたって灼熱の空気に包まれたことが原因とされており、当時の大気の構成を再現することで、絶滅の真相に迫れるかもしれません。

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歯の化石から「恐竜時代の空気」の復元に成功、世界初の成果 (2/2)のコメント

ゲスト

急激にガスの組成変わっても一応呼吸はできていたわけですね。
でも気分とかはそれ以前とはやっぱり変わったりしたのかな。

ゲスト

恒星進化の理論から太陽は年齢が増すに従って徐々に光度を増し続けており、白亜紀やジュラ紀のような過去の時代の太陽は現在よりも暗かった考えられており、白亜紀やジュラ紀太陽光による地表への熱の流入が少なかったにもかかわらず、珊瑚等の生物の分布から推測される平均気温が現在よりも高かったのは、温室効果ガスである二酸化炭素濃度が現在よりも高かったからだとこれまでも考えられていました。
 今回の研究により、当時の二酸化炭素濃度が現在よりも高かった事に関する新しい証拠(しかも既存の証拠と比べてより直接的に近く、尚且つ濃度の推定値をより細かく計算可能)がまた1つ増えたという事ですね。

    ジオロ爺

    太陽の明るさは地球誕生の頃に現在よりも30%ほど暗かった,というものです。ジュラ紀や白亜紀は2億年とか1億年前なので,それほど変わりません。誤ったデータを信じてしまう人もいますので,注意しましょう。

きくりん

化石の歯からその時代の空気が判る、科学の進歩進捗に感動です。この先、もう判っているのかも知れないですが、この時代の海、塩分濃度や草木の養分など判ると、地球がもっと見えてくる気がします。その様な未来を思い浮かぶと科学の意味が深くなる様です。

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