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画像右、白色がホタテ貝/ credit: Raymond Sauvage, NTNU University Museum(2025)
history archeology

「口元にホタテ貝」前例のないヴァイキング女性の埋葬を発見

2025.12.15 17:00:22 Monday

ノルウェーのトロンデラーグ地方で、前代未聞の考古学的発見がなされました。

ノルウェー科学技術大学(NTNU)によると、ヴァイキング時代の女性の墓から「口元にホタテ貝が並べられた」極めて珍しい埋葬証拠が見つかったのです。

北欧世界において、こうした埋葬例はこれまで一度も報告されておらず、研究者たちの注目を集めています。

果たして、この貝殻にはどんな意味が込められていたのでしょうか。

Viking-Age Grave Reveals a Burial Unlike Anything Seen Before https://www.sciencealert.com/viking-age-grave-reveals-a-burial-unlike-anything-seen-before Sensational Viking Age grave newly uncovered https://norwegianscitechnews.com/2025/12/sensational-viking-age-grave-newly-uncovered/

発見の経緯とヴァイキング女性の素顔

この発見の舞台は、トロンデラーグ県ビュグンにあるヴァルという地域。

金属探知機を手にした愛好家ロイ・ソーレング氏が、野原でヴァイキング時代の特徴的な楕円形ブローチを見つけたことが、すべての始まりでした。

この情報を受け、NTNU大学博物館とトロンデラーグ県の考古学チームが現場へ急行。

現地調査を進めるうちに、彼らは非常に保存状態の良い女性の骨格と、その周囲を取り囲むように配置された複数の副葬品を発見しました。

この女性は、800年代の典型的なヴァイキング時代の衣装をまとい、2つの楕円形ブローチやリング型バックルなど、身分を示す装飾品と共に埋葬されていました。

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発見されたブローチ/ credit: Raymond Sauvage, NTNU University Museum(2025)

考古学チームのレイモンド・ソーヴァージュ氏は「この副葬品の内容は、彼女が自由民であり、恐らく既婚者で農場の女主人だったことを示しています」と述べています。

ヴァイキング時代の女性がこのように豪華な装身具とともに埋葬されるケースは少なく、当時の社会における彼女の地位の高さがうかがえます。

しかし、今回の発見が歴史的に特異なのは副葬品そのものではありません。

最も注目を集めているのが「口元に慎重に並べられた2枚のホタテ貝」です。

貝殻は湾曲した面が外側を向き、まっすぐな縁が上部にくる形で、顎の両側を覆うように置かれていました。

また、墓の中には鳥の骨(おそらく翼の一部)も丁寧に配置されており、死者の旅立ちや再生を象徴する意味があった可能性が指摘されています。

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