免疫療法は「午後3時」が分かれ目:進行・死亡リスクに大きな差
免疫療法は「午後3時」が分かれ目:進行・死亡リスクに大きな差 / Credit:Canva
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免疫療法は「午後3時」が分かれ目:進行・死亡リスクに大きな差

2025.12.15 18:00:33 Monday

中国の中南大学(Central South University, CSU)の湘雅医学院付属がん病院で行われた研究によって、広範期小細胞肺がん(全身に広がった危険な進行性のがん)、同じ免疫療法+抗がん剤治療でも「いつ点滴するか」という時間帯によって、その後の生存期間に大きな差が出る可能性が示されました。

具体的には、免疫療法点滴が午後3時より前だったグループは、それ以降だったグループに比べて、がんの悪化リスクがおよそ半分、死亡リスクがおよそ6割低いとする結果が得られました。

薬や治療法そのものは変えず、『いつ治療するか』を変えただけで、なぜこれほどの差が生まれたのでしょうか?

研究内容の詳細は2025年12月8日に『Cancer』にて発表されました。

Overall survival according to time-of-day of immunochemotherapy for extensive-stage small cell lung cancer https://doi.org/10.1002/cncr.70126

免疫療法にも“時間帯効果”はあるのか?

免疫療法にも“時間帯効果”はあるのか?
免疫療法にも“時間帯効果”はあるのか? / Credit:Canva

治療を受ける「時間帯」を変えるだけで寿命が延びる可能性がある――にわかには信じがたい話かもしれません。

通常、病院で治療を受ける時間は予約や都合で決まるため、患者側が深く考えることは少ないでしょう。

しかし、生物には体内時計(生物に備わった約24時間周期のリズム)があり、私たちの免疫機能にも時間帯によって働き方が変わる日内変動(時間帯による変化)があることがわかってきています。

実際、クロノセラピー(体内時計に合わせて治療する方法)という概念も存在し、薬によっては服用する時間帯で効果が変わるケースも報告されています。

とはいえ、がんの免疫療法でもこうした「時間帯効果」が同様に発揮されるかは未知数でした。

そこで今回、研究者たちは広範期小細胞肺がん患者において免疫療法の投与時間と治療効果の関係を詳しく調べることにしました。

本当に治療する時間帯によって生存率に差が生まれるのでしょうか?

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