原因不明の絶滅事件の多くは海底火山噴火のせいかもしれない

今回の研究のいちばん大きな意義は、「大量絶滅の主役は大陸の火山と隕石」という、これまでのイメージに新しい登場人物をくわえたところにあります。
チベットの岩石や日本のチャートのデータを組み合わせることで、三畳紀には三回の大規模な海底火山活動があり、そのたびに海の酸素が不足し、海の生きものの絶滅が増えることとの関連が示されました。
研究者たちは、この結果から「海洋での大規模火成活動は三畳紀のたび重なる絶滅の主要な引き金であり、地球史全体を見ても重要な役者だった可能性がある」と結論づけています。
過去五億年で百六十回以上も知られている絶滅のなかには、これまでちゃんと説明されてこなかったものが多くありますが、その一部は、まだ姿を見せていない海底大噴火が原因だったかもしれないのです。
また、この研究が示したのは「結果」だけではありません。
どのようにして見えない海底大噴火を探し出すか、という「方法」そのものも大きな成果です。
研究チームは、山脈の中に挟みこまれた海底火山のかけらから年代とマグマの性質を調べ、さらに深海の堆積岩に記録されたオスミウム同位体の変化と、世界規模の気温や酸素不足、絶滅の記録を時間軸の上で重ね合わせました。
こうして、「岩石の年齢」と「海水の化学的なサイン」と「生物の変化」を一体として扱うことで、昔の海洋大規模火成活動のタイミングをかなり正確にしぼりこむ手法を示したのです。
このやり方は、三畳紀に限らず、ほかの時代の「見えない海底大噴火」をさぐるうえでも強力な道具になります。
世界には、チベット以外にも北東中国や日本、北米など、多くの山脈や付加体(海の堆積物が大陸にくっついてできた地帯)とよばれる地帯に、古い海洋のかけらがはさみこまれています。
そこから海底火山の破片を見つけ出し、同じように年代や成分を調べていけば、これまで「理由不明」とされてきた絶滅イベントの背後に、いくつもの海洋大規模火成活動が見えてくるかもしれません。
また、オスミウム同位体だけでなく、ほかの元素の比や有機物のしるしを使って、海の酸素や温度の変化をより細かく復元する研究も進められています。
こうした情報を、気候のシミュレーションや地球システムのモデルに取り入れることで、「過去の地球がどれくらい急な変化に弱かったのか」を、より定量的に理解できるようになるでしょう。

























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