ADHDは創造性が高いのか?
「ADHDの特性は創造性と関係するのだろうか」という疑問は以前から研究者の関心を集め、さまざまな実験で確かめられてきました。
ただし、これまで創造性の研究においてADHDとの関連性は「一貫性がない(弱い)」とされてきました 。
理由の一つは、「創造性」をどう定義し、どう測るかが非常に難しい問題であるという点にあります。
研究チームはこの原因について、既存研究の多くが課題に対して「どれだけ解けたか」という結果に比重を置き、「どのように解いたか」という過程を十分に分析していなかった点に問題があるのではないかと考えました。
創造的な問題解決には、手がかりを順に検討して積み上げる分析(analysis)と、答えがまとまって意識に上がるひらめき(insight)の少なくとも二つの道筋があると考えられています。
ひらめき(insight)とは、解に至る過程を段階的にたどったという自覚が薄いまま、答えが突然意識に浮かぶ体験を指します。
一方の分析(analysis)は、情報を意識的に組み替えたり候補を試したりしながら、非自明な答えに近づく解き方です。
もしADHDの特性が「正解数」そのものよりも、「ひらめき寄りか分析寄りか」という配分に影響するなら、正解数だけを見る研究では関係が見えにくくなる可能性があります。
研究チームは、これが「結果の一貫性のなさ」の一因になっているのではないかと考えたのです。
「分析」の健常者、「ひらめき」のADHD
研究チームが使ったのは、言葉のパズル型の課題です。
大学生301名を対象に、遠隔連想課題(Compound Remote Associates Task; CRA)と呼ばれる言語パズルのテストを行いました。
これは、一見無関係に見える3つの単語(例えば「紙・本・袋」)から、共通してつながる1つの単語(正解は「手」 → 手紙、手本、手袋)を導き出すという、創造性を測る古典的なテストです 。クイズ番組などで見たことがある人も多いかもしれません。
そしてこの実験で研究チームが工夫したのが、正解だけでなく「解き方」もセットで答えてもらった点です。
参加者は、答えが分かった瞬間にキーを押してから答えを入力しました。
その直後に、解き方がひらめき(insight)だったのか分析(analysis)だったのかを選び、問題ごとに記録しました。
つまり研究チームは、同じ課題で「ひらめきで解いた正解」と「分析で解いた正解」を分けて数えられるようにしたのです。
参加者のADHDの傾向は、世界保健機関(World Health Organization)が用いる成人ADHD自己記入式尺度(Adult ADHD Self-Report Scale)で測定されました。(今回の実験では参加者301人中161人(約50%超)が、ASRSで閾値を超えた(診断可能性あり)だった)
その結果、ADHD傾向の強さ(ASRSスコア)によって、問題解決のスタイルが明確に分かれることが判明しました。
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ADHD傾向が低いグループ: 論理的・分析的なアプローチ(Analysis)を多用するか、バランスの取れた手法をとる傾向
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ADHD傾向が高いグループ: 分析的な手法よりも、「ひらめき(Insight)」によって正解にたどり着く頻度が有意に高い傾向
つまり、同じ正解にたどり着いても、そこまでの道筋がADHD傾向によって偏りやすい可能性が示されたのです。




























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