神アポロンの声を語る巫女「ピュティア」

デルポイの神託は、古代ギリシャ世界で最も権威のある宗教的儀式の一つでした。
神殿には「ピュティア」と呼ばれる巫女が座り、神アポロンの意志を人々に伝える役割を担っていました。
デルポイを訪れる人々は、単なる好奇心からではなく、人生や国家の重大な決断を前にして助言を求めていました。
個人の財産問題から戦争の是非まで、あらゆる相談が持ち込まれたといいます。
興味深いのは、古代人自身もピュティアを霊能力者だとは考えていなかったことです。
1〜2世紀の有名な著述家プルタルコスはデルポイの神官でもあり、神託の様子を記録しています。
彼によれば、巫女は「地中から湧き上がる力」を受け取る存在でした。
つまり、予言の力は巫女自身ではなく、大地そのものから来ると考えられていたのです。
プルタルコスの記述では、神殿の下には泉があり、岩の割れ目から「プネウマ」と呼ばれる甘い香りのガスが立ち上っていました。
巫女は三脚の椅子に座り、このガスを吸い込むことでトランス状態に入り、神の言葉を語ったとされています。
その様子はかなり激しいもので、叫び声を上げたり、興奮したり、時には倒れてしまうこともあったと記録されています。

























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