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Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
biology

動物由来のウイルスは「特別な変異なし」でヒトに感染できると判明

2026.03.23 17:00:36 Monday

「動物由来のウイルスがヒトに感染するには、前もって、ヒト向けの適応的な変異を獲得する必要がある」

これが従来の普遍的な考えでした。

しかし、その常識を揺さぶる研究が発表されました。

米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)の研究チームは、パンデミックを引き起こしたウイルスの多くが、ヒトへ跳び移る前の段階で「特別な変異」を示していなかった可能性を報告したのです。

つまり問題は、ウイルスが劇的に進化したかどうかだけではなく、私たち人間がどれほどそのウイルスに接触しやすい環境を作っているかにあるのかもしれません。

研究の詳細は2026年3月6日付で科学雑誌『Cell』に掲載されています。

Viruses That Jump to Humans Don’t Need Special Mutations, Study Finds https://www.sciencealert.com/viruses-that-jump-to-humans-dont-need-special-mutations-study-finds Recent Pandemic Viruses Jumped to Humans Without Prior Adaptation, UC San Diego Study Finds https://today.ucsd.edu/story/recent-pandemic-viruses-jumped-to-humans-without-prior-adaptation-uc-san-diego-study-finds
Dynamics of natural selection preceding human viral epidemics and pandemics https://doi.org/10.1016/j.cell.2026.02.006

パンデミックのウイルスは「特別な進化」をしていなかった?

これまでの一般的な考え方では、動物に感染しているウイルスが人間に広がるには、あらかじめ特別な変異を獲得する必要があるとされてきました。

例えば、人の細胞に入りやすくなる変化や、人から人へ感染しやすくなる性質です。

いわば「人間向け」に変わって初めて、大きな流行が起きると考えられてきたのです。

しかし今回の研究では、この前提が大きく揺らぎました。

研究チームは、インフルエンザAウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルス、エムポックス(サル痘)ウイルス、SARS-CoV、そして新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)といった複数の病原体について、遺伝子レベルで進化の様子を詳しく分析しました。

特に注目したのは、「ヒトに感染する直前」の段階です。

もしウイルスが事前にヒトへ適応していたなら、その痕跡が遺伝子に残っているはずだからです。

ところが結果は予想外でした。

どのウイルスも、ヒトに感染する前には特別な進化の兆候が見られませんでした。

進化の強さは、動物の中で普通に循環しているときとほぼ同じだったのです。

はっきりした変化が見えたのは、ヒトの間で広がり始めてからでした。

これはつまり、今回調べられた多くのウイルスが、ヒトに感染し、ある程度はヒトの間で広がるための基本的な能力を、すでに持っていた可能性を示しています。

研究者たちは、パンデミックを起こすウイルスを「事前に特別な進化を遂げた例外的存在」とみなすよりも、動物界にすでに存在していたウイルスが、人間との接触機会を得た結果として出現した可能性に注目しています。

次ページ本当のリスクは「劇的な変異」より「人間の行動」

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