「粒子加速器×クリトリス」で見えてきたもの

今回の研究チームが使ったのが、シンクロトロンと呼ばれる粒子加速器です。
元々は物理学的な実験のための施設でしたが、電子を光速近くまで加速する過程で生じる極めて明るいX線が発生します。
研究者たちはこの粒子加速器によって生じたX線をクリトリスを含む骨盤にあてることにしました。
その精度は驚異的で、標本全体は20マイクロメートル、クリトリス亀頭の部分はさらに細かい2マイクロメートルという、MRIの数百倍にあたるミクロン単位で撮影されました。
病院のMRIが「Googleマップで国全体を眺める感覚」だとすれば、今回のシンクロトロンCTは「同じ場所をストリートビューで街路樹の葉っぱ1枚まで観察する感覚」です。
得られた画像データは膨大で、ひとつの標本につき最大1.7テラバイトに達します。
研究チームはこのデータを、深層学習を組み合わせた画像解析ソフトを使って処理し、神経の走行を1本ずつ丹念に追跡していきました。
そうして描き出された神経の姿は、これまで医学教科書に載っていたイラストとは別物でした。
論文に掲載された画像を見ると、骨盤の中央に黄色く光って描かれていることがわかります。
この黄色いラインが、「クリトリス背側神経(DNC)」と呼ばれるクリトリスの主要な感覚神経になります。
画像をみてもわかるように、左右1本ずつあり、骨盤の脇から進入し、海綿体に沿って上面を走り、最も敏感とされる亀頭へと向かっていきます。
ここまでは、これまでの解剖学的知見ともおおむね一致する走行でした。
ところが、亀頭に到達したあとに見えたものが、これまでの教科書と決定的に違っていたのです。
従来の解剖学文献では、クリトリス背側神経は亀頭に近づくにつれて「徐々に細くなって消えていく」と記述されてきました。
この記述に基づいて、医学イラストレーターたちは長年クリトリスの亀頭部分を、神経がまばらにしか分布していないように描いてきました。
こうした図を通じて、亀頭の神経はまばらだという印象が医学教育の中にも広がっていた可能性があります。
しかし、今回のシンクロトロンCTでクリトリス亀頭の内部を覗き込んでみたら、神経はまったく細くなって消えてなどいませんでした。

それどころか、亀頭の中では5本の太い神経の幹として走り、そこから木の枝のように表面に向けて神経の糸が広がっていることがわかったのです。
論文に添付された3次元画像では、これらの幹が黄色、青、ピンク、緑、赤と色分けされ、亀頭の中で美しく枝分かれしている様子がはっきりと描かれています。
5本の幹の太さは、最も太いところで230マイクロメートルから700マイクロメートル、平均すると約423マイクロメートル(0.4ミリ強)ありました。
この1本1本は人間の神経としては中程度の太さですが、それが小さなクリトリス亀頭に5本も詰め込まれていることを考えると、神経の集中度は極めて異例のレベルに達していると言えます。
これは先行研究でクリトリスの神経密度がペニスの6〜15倍に達していると報告されてきた事実とも、整合する観察になるでしょう。
(※先行研究は神経密度を調べましたが、神経全体の分布は調べていません。逆に今回は主要な感覚神経の3D分布は調べましたが、密度は調査範囲に入っていません)
さらに研究チームは、興味深い構造的特徴も発見しています。
左右の幹はそれぞれ亀頭の左半分と右半分にだけ広がっていて、中央の線を越えて反対側に進入することはありませんでした。
神経幹の走行を見る限り、クリトリス亀頭の左右は、それぞれ別の半側へ向かって神経が分布する形になっていたのです。
しかしより意外な結果は、神経の辿った先にありました。




























![シルバーバック かわいい海の生きもの CUBE 2X2 キューブ ツーバイツー|海の生き物デザイン 立体パズル スピードキューブ 5cm 子ども〜大人向け 知育 ギフトに最適 ([バラエティ])](https://m.media-amazon.com/images/I/41EJOOLgGXL._SL500_.jpg)






















